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 オフィスは組織の活動の拠点だ。そこには多様な人々の多様な活動がある。それらを効果的に支えるためには、個別の行為や作業に応じた空間機能と同時に、それら同士の関係を調節する機能も必要だ。単位空間をどのように組み合わせるか、どうつなぐか、あるいはどう仕切るかといったことである。今回は、個人の作業空間同士で、あるいは周囲との間にどんな関係をつくるか。そのための仕切りについて考えてみる。

 一般に、欧米のオフィスは日本のオフィスに比べると、個室やパネルが多く閉鎖的であるとの認識が多いが、すべてがそうというわけではない。それぞれの組織の仕事の進め方や空間に対する考え方によって、多様なバリエーションが見られる。それゆえ、そこからは色々なヒントも見つかる。

個人席の閉鎖度は組織や職種によって異なる(写真:岸本章弘)
個人席の閉鎖度は組織や職種によって異なる(写真:岸本章弘)

プライバシーを調節する

 個人席をどのように仕切るかを決める代表的な要因は、プライバシーの要求度だろう。思考作業への集中を助けたり、機密性を維持したりするうえで、個人席の閉鎖度合は重要な要素になる。デスクに向かう個人の視野をどのように調節するか、その個人に対する周囲からの視線をどこまで遮るか、といったことだ。

 ただし、職種や仕事によって求められるプライバシーのレベルは異なるし、場所が違えば周囲の条件も違う。また、ひとりの個人が担当する仕事の中にも多様な作業が含まれており、求める環境条件がいつも一定というわけでもない。さらに、日常的なコミュニケーションのためには、むしろオープンな空間が求められることも多い。だから、こうした多様で変化する要求に対応するための個人席の環境は、個別の条件や状況に応じて都度、調節できることが望ましい。

 調節といっても、何も高度な機構や装置が必要なわけではない。むしろ、単純な操作で日常的に対応できるような方法が望ましいだろう。扉やカーテンの開き方を調節する、身の回りのモノの位置をずらす、メモや資料を留める、といった行為が自然にできるようなしつらえが望まれるところだ。

各ブース席に置かれた自立型のキャスター付きホワイトボードパネル。ちょっとした目隠しとして利用したり、席外しの際の伝言板として使ったり、あるいは同僚との簡単な打合せに活用したり、用途は多様だ(写真:岸本章弘)
各ブース席に置かれた自立型のキャスター付きホワイトボードパネル。ちょっとした目隠しとして利用したり、席外しの際の伝言板として使ったり、あるいは同僚との簡単な打合せに活用したり、用途は多様だ(写真:岸本章弘)

通路と個人席を仕切る透明色の樹脂パネル。よく見ると内側には無造作にメモ等が貼られているが、外側からは目立たない。空間全体の解放性や美観を損なうことなく、個人レベルでのプライバシーの調節ができているようだ(写真:岸本章弘)
通路と個人席を仕切る透明色の樹脂パネル。よく見ると内側には無造作にメモ等が貼られているが、外側からは目立たない。空間全体の解放性や美観を損なうことなく、個人レベルでのプライバシーの調節ができているようだ(写真:岸本章弘)

家具だけでなく、植物も空間を柔軟に仕切る手軽なアイテムになる(写真:岸本章弘)
家具だけでなく、植物も空間を柔軟に仕切る手軽なアイテムになる(写真:岸本章弘)

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