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 ロビーを流れる水の先にはプール、その向こうにはインド洋が、一続きの絵のように展開している。スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワが最後に手掛けたホテル「ザ・ブルーウオーター」だ。「私たち夫婦が求めていたライフスタイルは、すべてここにあった」と、手塚貴晴氏は感動する。「人間は家の中にずっととどまっていたい動物ではない。バワの建築は外で過ごすことが一番気持ちいいことだと教えてくれた」。

 熱帯に位置するにもかかわらず、バワ建築が心地いいのはなぜなのか。手塚氏は「それは、本来省いてはいけない要素が総体としてまとまっているからだ」と説く。例えば同じ気温でも、ニューヨークの路地裏と、屋根があって簾(すだれ)が下がり、目の前に砂浜が広がる空間とでは、体感温度がおのずと違う。「節約しようと言わなくても環境に優しい建築になっているところがすごい」(手塚氏)。


ザ・ブルーウオーターのロビーから見た景色。このホテルを設計したジェフリー・バワの理念は「建築は語るものではなくて体験するもの」だった。代表作「ガンダラマホテル」のフロントは外にあり、しかも既存の石をそのまま建築に埋め込んでいる。バワは現場主義を貫いたため、正式な図面を完成後につくったという(写真:手塚 貴晴)

手塚 貴晴(てづか たかはる)
1964年生まれ。87年に武蔵工業大学建築学科卒業。90年にペンシルバニア大学大学院を修 了。リチャード・ロジャース・パートナーシップ・ロンドンを経て、94年に手塚由比氏と手塚建築企画を設立。後に手塚建 築研究所に改称。2003年に武蔵工業大学准教授に就任。08年に「ふじようちえん」で日本建築学会賞作品賞を受 賞した。代表作は「副島病院」や「屋根の家」など