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 住宅や化粧品、健康機器などのビフォー&アフター的視点で、驚異の大変身を成し遂げた学校がロンドン市内にある。「セント・マリボーン・チャーチ・オブ・イングランドスクール」と長い正式名のセカンダリースクールがそれ。11歳から18歳までの女子生徒900人が通う、日本でいう中高一貫の公立学校である。

 地下鉄のマリボーン(Marylebone。日本では「マリルボーン」、あるいは「メリルボーン」と表記されることが多いが、現地では「le」を発音しないと聞いた)駅を出て左に歩くと、観光客が入場の列をつくっている蝋人形館、マダム・タッソーがある。さらに2ブロックほど行くと右にセント・マリボーン教会が見え、その裏側一角が1791年に創立されたこの学校へとつながっている。界隈のほとんどは歴史建造物に指定され、改装・改築は厳しく規定されている地区で、はす向かいにはクラシックなファサードを残すコンランショップもある。

St. Marylebone
道路側から見る校舎 (写真:武藤 聖一)
St. Marylebone
煉瓦造のファサードと調和するカラリング (写真:武藤 聖一)
St. Marylebone
ガラス窓の外側は、さび加工したメッシュとスチールプレートで覆っている (写真:武藤 聖一)

 早く到着してしまったので教会の公園で撮影準備をしていたところ、建築家のフィリップ・グムクディアン氏から「近くにいるので案内したい」という予期せぬ電話が入った。休み時間なのだろう。校門前の狭いパブリックスペースは大勢の女子生徒のしゃべり声で活気が渦巻いていた。英国の学校の生徒の顔写真は肖像権も含めて厳重に注意するように、とのメールを取材前に受けていたので撮影しないで待っていると、グムクディアン氏がモーターバイクのヘルメットを持ってやってきた。

St. Marylebone
レセプションへの階段から見る校庭と校舎 (写真:武藤 聖一)
St. Marylebone
校門をくぐって左に展開する校舎。5層の建築が透けて見えるのがポイント (写真:武藤 聖一)
St. Marylebone
許可を得て撮影した教室の授業風景。窓から教会や歴史建造物が望める (写真:武藤 聖一)

 時代感覚に見合ったパフォーマンス科(ミュージック、ダンス、ドラマ)の創設以来、人気が出て評判もよく、レッスン用スペースの確保が緊急課題とされていたという。「歴史建造物に囲まれて、しかも敷地は狭い。水平的にも垂直的にも厳しい建築規制のある中で、教室と校庭、スポーツホールをつくらなければならなかった。さらに、道路に面したアウトヤードや旧校舎、教会などといかに調和のとれた学園をクリエートできるかがメインコンセプトだった」とグムクディアン氏は振り返る。

St. Marylebone
色、素材など、カジュアルな仕上がりに喜びの表情のフィリップ・グムクディアン氏 (写真:武藤 聖一)
St. Marylebone
校庭と吹き抜け、教室とスポーツホールがコンパクトにつながっている (写真:武藤 聖一)
St. Marylebone
スポーツホールの外側を地下吹き抜けにして、連絡階段を設置してある (写真:武藤 聖一)
St. Marylebone
素材と色をカジュアルに組み合わせたデザイン (写真:武藤 聖一)

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