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 ティファニー銀座  TIFFANY GINZA
(東京都中央区銀座2-7-17)
業種・業態/宝飾店
設計/隈研吾建築都市設計事務所
外装照明/内原智史デザイン事務所
keyword facet-cut jewelry aluminum-honeycomb-panel facade LED GINZA


[銀座を輝かせる光]
#01 スワロフスキー銀座 “LEDの白を基調に詩情のある宝飾店に”
#02 ティファニー銀座(本記事)


店舗デザインコンセプト│銀座のアーバンデザインも視野に入れる

 米国ニューヨークを本拠とする宝飾ブランドのティファニーが、東京の銀座通り(中央通り)沿いにある旗艦店をリノベーションし、08年11月1日にオープンさせた。外装設計の指名コンペを実施して隈研吾建築都市設計事務所の起用を決め、設計の過程で信頼関係を築いた結果、店舗内装の主要部分の設計も同事務所に依頼している(ア・ファクトリーと共同)。「ニューヨークのティファニー本店は街のシンボルとして長く愛され続けている。そうした大事な場所をつくる意気込みで設計した」と隈研吾氏は語る。

 隈氏はこう説明する。「ブランドビルはたいてい、箱の包装紙をどうするかといった発想でつくられる。私は、もっと小さな単位の“粒子”として建築を扱いたいと考えており、このファサードも同じだった。また、今回の仕事は、銀座のアーバンデザインにもかかわるという意識があった。アーバンデザイン、建築、家具といった違う領域と思われているものが、“粒子”という考え方によって一つにつなぎ合わされる。今回であれば、アルミハニカムをガラスで挟んだ外装のパネルが、その“粒子”だと言ってよい」。




夜景。「風格のある銀座という街の将来の軸をつくる姿勢で臨み、街と建築の一体感を生むことが大事だと考えた」と、隈研吾建築都市設計事務所の藤原徹平氏は語る。商業施設といっても、短期的な刺激ではなく、長期的に愛顧される店舗づくりを目指している。外装照明の施工協力はパナソニック電工 (写真:2点とも吉田 誠)


外装照明│“宝石のような輝き”の表現を目指す

 アルミハニカムの重ね方や穴の大きさの検討時に重視したことは、ダイヤモンドのようなキラめきをどう出すかだ。穴径については4/3インチと3/8インチの2枚を使い、それぞれ厚さ10mmにスライスして重ねている。外装照明を担当した内原智史氏の参加時点で、このパネルの仕様は決まっていた。下階で縦1850mm×横1750mm、上階で縦1800mm×1750mmと使い分けてファサード全体を覆い、292枚あるそれぞれの取り付け角度を不規則に変えて表情をつくる──。これをどうライトアップするかがテーマとなった。

 ファサードのコンセプトの一つに、宝石の加工方法である「ファセットカット」が設定されていた。角度の異なる多数の面(ファセット)によって光を屈折・拡散させ、内側から光り輝いているように見せるカット方法だ。一方、アルミハニカムは一見、光を拡散させるように見えるが、実際には直接反射素材であり、それ自体では乱反射のイメージを生み出すことはできない。光源の選定と、パネルに対する照明の当て方、それらとパネルの取り付け角度との関係などを入念にスタディし、コンセプトを実現する必要があった。




パネルに対する照明の入れ方は、最終案の水平のほか、垂直、コーナー部のみと様々に検討した (資料:2点とも内原智史デザイン事務所)




LEDユニットは、パネル下枠(ステンレス)の裏側に沿って水平に入る。モックアップによる検討を繰り返し、照明がともった際に裏にある造作が邪魔に見えたり、余計な影が出たりしないようにディテールを決めた。キラキラする様子を見せるためにLEDのピッチは広めに取っている (写真:2点とも内原智史デザイン事務所)


当初のモックアップ(写真)では、パネル面(右手)とLEDユニット(左手)の距離に余裕があったが、既存建築物の改修であるため、外装を設置するための前面のすき間が十分には確保できないと分かり、150mmの近距離から照らす格好に落ち着いた (写真:内原智史デザイン事務所)


完成後の店内から見る。パネルのガラスは中国製、ステンレスフレームは日本製、アルミハニカムは航空機関連、消防隊進入口部分の開閉機構となる工業用ラッチは自動車部品のメーカーから調達した。「精度を合わせてこれらをアセンブルする技術は、日本はどこにも負けないと改めて感じた」と隈氏は語る。ガラス+ハニカム複層パネルCWの施工協力はデバイス (写真:吉田 誠)


LED│客を温かく迎える3000ケルビンの色温度に

 当初から光源として有力候補だったLEDを試す中で、最初は三原色(RGB)をそれぞれ使ってダイヤモンドのような輝きを再現することも検討した。しかし、思ったような効果は出ないことが分かり、パネルに対する照明の当て方などにより、キラキラとした様子を表現することになった。

 色温度は、最終的に3000ケルビンの電球色に落ち着いた。「ダイヤモンドホワイトのイメージは5000~6000ケルビンで、これはオフィスの照明に近い。周辺のビルと同化させないことが必要であり、客に対するホスピタリティーを考慮しても、もっと温かい色のほうがよいと判断した」(内原氏)。この狙いの場合、白熱灯も効果的なので迷いもあったが、「輝度感があり、消費電力やメンテナンス面の有利さからLEDに決めた」という。




RGBのLEDを用いることを前提に検討していた当初のCGシミュレーション画像 (資料:2点とも内原智史デザイン事務所)