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前回は、黒川紀章氏の代表作「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」を、3D仮想世界「セカンドライフ(以下SL)」に“移築する”試みについて紹介した(「入ってみる?」 黒川紀章氏のカプセル建築を仮想3D体験)。その制作に携わった建築設計事務所、アトリエテンは仮想世界でも設計事務所として活動する。その歩みを聞いてみた。


 セカンドライフ版「中銀カプセルタワービル」の制作を担当したアトリエテンは、nikkei BPnet、nikkei TRENDYnet、日経アーキテクチュア共催による「デジタルデザインコンペ2007」で最優秀を獲得した建築設計事務所だ。コンペ応募と前後し、ウェブ上の3D仮想世界の中での設計・デザインにも活動の場を広げている。カプセルタワー以外にどのような“建築”をつくってきたのか、インタビューを交えて追ってみたい。

 アトリエテンはまず昨年半ばに、カプセルタワーの制作を担当するきっかけとなったコンペ最優秀作品「THE MUSEUM OF THE GLOBE」のアイデアを、自らの手でSL内に実現している。白いキューブの群れが集まって出来た卵のような球体が、空中に浮かぶ。コンペのテーマ「21世紀生活博物館」に対応し、それぞれのキューブが展示コンテンツとなる。空中を飛び回って事物にアクセスできるSL内ならではの施設だ。


デジタルデザインコンペ2007総合提案部門・最優秀作品「THE MUSEUM OF THE GLOBE」(コンペ提案時) (制作:アトリエテン)




Blue Ocean JP(SLのSIM名)に実際にモデリングして設置した「THE MUSEUM OF THE GLOBE」(2点とも)。コンペ提案時は3DCGソフトによるイメージだったが、半自動でオブジェクト(キューブ)を配置するプログラムを用い、SL内に実現した (制作:アトリエテン、 制作協力・設置SIM提供:GMOティーカップ・コミュニケーション)


 並行し、電通がSLに開設した「バーチャル東京」内の慶応義塾大学セカンドライフキャンパスとして「ブレイン・マシン・インターフェース・リサーチセンター(BMIRC)」を制作。この施設を拠点に、慶応義塾大学理工学部の牛場潤一教授の研究室(http://www.bme.bio.keio.ac.jp )が、アバター(SL内でユーザーが操作するキャラクター)を脳波でコントロールする研究を進めており、これにも協力した。

 これは、重度の運動障害がある人にコミュニケーションやビジネスの機会を提供することを目的とした研究で、「脳波変化を読み取って歩行するアバターのためのコースの作成や、施設内の諸室のゾーニングなどに建築計画のノウハウを生かすことができた」とアトリエテンの寺本勉氏は語る。「アバターの動き方(操作性)や、3Dに特有の視野角なども考慮する必要があるのだが、SL内での制作経験を応用できた」とのこと。




ブレイン・マシン・インターフェース・リサーチセンター(BMIRC) (制作:アトリエテン、 研究・企画:慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室+慶応義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター 医工連携プロジェクト)

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