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 ノルウェーの首都オスロはストックホルムから西に空路一時間の距離にある。この厳寒期に車で行くとなると凍結スリップのリスクがあり、途中いまだに自動車道が完備されてない区間があるため、アルランダ空港からガーダーモーエン国際空港まで飛んでみることにした。

 空港からオスロ市内まではエアポートエクスプレスの電車に乗り20分ほどで中央駅に到着。プラットホームからエスカレーターで構内に出て、左側の港方面の階段を降りるとタクシー乗り場があり、その先からオペラハウスまでは屋根付きのブリッジを渡って数分でアプローチできる。至近距離の利便性はうれしい限りだ。

南側に240メートルほどあるウオーターフロント遊歩道 (写真:武藤 聖一)
南側に240メートルほどあるウオーターフロント遊歩道 (写真:武藤 聖一)
オスロ駅から続く屋根付きブリッジの突端から見るオペラハウス (写真:武藤 聖一)
オスロ駅から続く屋根付きブリッジの突端から見るオペラハウス (写真:武藤 聖一)

 気温は0度ほど、あいにくもやがかかった天候だ。雪をかぶり、白い大理石を敷き詰めた広場や幾何学的なインパクトのあるファサードが眺められなかったのは少し残念だった。スロープはグラニットのルーフで構成され、面と線によるコントラストがある。プラザを含めて長さ242メートル、トータルで3万3000枚の石板を使用し、表面積が1万9000m2もある白い容姿の巨大な建物は、オスロ湾と後方の山なみに自然と穏やかに溶け込むかのような、豊かな景観となって目の前に展開していた。

オスロ湾の東側の山並みとウェーブするかのようなオペラハウス (写真:武藤 聖一)
オスロ湾の東側の山並みとウェーブするかのようなオペラハウス (写真:武藤 聖一)
スロープの大理石は湿っても白い光沢を維持できるイタリアンマーブル、La Facciataを使用している (写真:武藤 聖一)
スロープの大理石は湿っても白い光沢を維持できるイタリアンマーブル、La Facciataを使用している (写真:武藤 聖一)

 完成までの経緯を大雑把にたどってみる。1998年ノルウェー政府は新オペラハウスの建設を決定、2000年に無記名国際コンペが開催された。240のエントリーから選ばれたのは、以前私が取材した“アレキサンドリア図書館”の設計者として注目を浴びた、オスロに拠点のあるスノーヘッタ・アーキテクツ(Snohetta Architects)案だった。

 当初、候補地として3カ所を挙げたが、観光船やフェリーが発着する埠頭のウオーターフロント地区を選定し、2003年工事に着手、約5年かけて昨春に竣工した。延べ面積3万8500m2、家具や各種器材購入を含めた総工費は約45億ノルウェークローナ(円換算で約675億円)とノルウェー建築史上最大級の建造物である。

エントランスプラザにはソプラノ歌手として世界中にその名を馳せたKirsten Flagstad(キルステン・フラグスタート)のブロンズ像が置かれている (写真:武藤 聖一)
エントランスプラザにはソプラノ歌手として世界中にその名を馳せたKirsten Flagstad(キルステン・フラグスタート)のブロンズ像が置かれている (写真:武藤 聖一)
夕方になると徐々に内側コア部分が浮き出し、透明感ある優雅な情景を演出し始める (写真:武藤 聖一)
夕方になると徐々に内側コア部分が浮き出し、透明感ある優雅な情景を演出し始める (写真:武藤 聖一)

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