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 雪景色のせいなのか。オスロ湾と対峙し、緩やかなスロープの直線的な容姿が印象的なオペラハウスには、巨大な建造物が持つ威嚇性は感じられない。ところが、エントランスから吹き抜け空間のホワイエに入った途端、質感あふれたモダンデザインのドラマティックな展開を目にすることができる。ホワイエのコントラストある空間構成は、前回説明した通りである。

ホワイエ中心部はコントラストのある空間構成(写真:武藤 聖一)
ホワイエ中心部はコントラストのある空間構成(写真:武藤 聖一)

フェリーボートの発着埠頭から見るオペラハウス(写真:武藤 聖一)
フェリーボートの発着埠頭から見るオペラハウス(写真:武藤 聖一)

両サイドのスロープはグラニット敷き。雪がなければ絶好の散策スペースとなる(写真:武藤 聖一)
両サイドのスロープはグラニット敷き。雪がなければ絶好の散策スペースとなる(写真:武藤 聖一)

 建物内にはステージが3カ所ある。最奥のステージはリハーサル用。オペラやバレエ、コンサート、演劇などはその規模に応じて、第一、第二ステージが一般公演用に使用される。1400席ある第一ステージへは、ホワイエのレセプションとレストランの両サイドから広い階段でアプローチしている。観客の上下移動の迅速性にも考慮し、計16カ所に設置したエレベーターで各フロアにアクセスできる。

伝統的な馬てい形のメインステージ客席。4層でトータル1400席(写真:武藤 聖一)
伝統的な馬てい形のメインステージ客席。4層でトータル1400席(写真:武藤 聖一)

舞台から見る第二ステージ。フレキシブルな客席は最大400席(写真:武藤 聖一)
舞台から見る第二ステージ。フレキシブルな客席は最大400席(写真:武藤 聖一)

 フロアの連絡通路や開演時の休憩時間にオープンするバーは、オーク材で覆われ、木の温もりというか、芳香性を感じとることができる。教会とか木造住宅などに見られるノルウェーの木の文化を象徴しているかのようだ。

木の素材の組み合わせを変えて雰囲気を演出した通路(写真:武藤 聖一)
木の素材の組み合わせを変えて雰囲気を演出した通路(写真:武藤 聖一)

全壁面がオーク材で覆われた優雅な通路(写真:武藤 聖一)
全壁面がオーク材で覆われた優雅な通路(写真:武藤 聖一)

休憩時にはオープンバーとなる階上ホワイエ(写真:武藤 聖一)
休憩時にはオープンバーとなる階上ホワイエ(写真:武藤 聖一)

 客席のいすの座は真っ赤なレザー感触のテキスタイルだ。前後の列間隔は身障者用の車いすも通れそうなほど余裕のある設計で、後から入ってくる人のために、いちいち立ち上がらなくても済みそうだ。伝統的な馬てい形をした客席の床、壁面、通路の手すりやフロアのフロントには、アンモニア水で処理された、かなりダーク調のオーク材が使用されているが、ノルウェー産ではない。

座席の列間隔はかなり余裕ある設計(写真:武藤 聖一)
座席の列間隔はかなり余裕ある設計(写真:武藤 聖一)

赤いレザー感覚の座席ディテール(写真:武藤 聖一)
赤いレザー感覚の座席ディテール(写真:武藤 聖一)

サイド席から見るステージ。緞帳(どんちょう)のアートが見られなくて残念(写真:武藤 聖一)
サイド席から見るステージ。緞帳(どんちょう)のアートが見られなくて残念(写真:武藤 聖一)

バルコニーのフロント部分。通路の手すりと腰壁が一体化した厚手の合板は質感十分(写真:武藤 聖一)
バルコニーのフロント部分。通路の手すりと腰壁が一体化した厚手の合板は質感十分(写真:武藤 聖一)

 観客席の真上には建築家自身がデザインしたシャンデリアが輝いている。ハンドキャストの5000個のクリスタルグラスを使用し、800個のLEDライトに照射されて白く、クールな光を発散している。上階席から見ると、静止しているUFOといった感じか。

メインステージ、客席中央上の建築家自身が設計したクリスタルガラス製シャンデリア(写真:武藤 聖一)
メインステージ、客席中央上の建築家自身が設計したクリスタルガラス製シャンデリア(写真:武藤 聖一)

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