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 ルッケンバルデに続く図書館の第三弾を撮るため、フランクフルトからバルセロナまで飛んだ。

 観光客が途絶えないランブラス通りの西側、ちょうどモンジュイックの丘との中間ぐらいに位置するサン・アントニ図書館は、地下鉄のポブレ・セック駅から歩いて数分のところにある。街は下町の風情があり、1階がショップ、上階がアパートとなっている、活力ある商住地区にある。

通りから見る黒いメタリックのファサードを持つ図書館 (写真:武藤 聖一)
通りから見る黒いメタリックのファサードを持つ図書館 (写真:武藤 聖一)

 設計はバルセロナから百数十キロほど北、ピレネー山脈の麓の自然豊かなオロットという街を拠点にするRCR Arquitectes。以前、日経アーキテクチュアの別冊で取材したことのあるレストラン「Les Cols」のデザイナーとしても知られている。

 「作品作りで常に念頭に置いているのは、その立地を理解し建築を配置することで、新しい風景の創造を試みることにある」。7年間この事務所に勤め、プロジェクトデザインにも加わった藤井香氏はこう前置きし、次のように語る。「この図書館はRCR Arquitectesがバルセロナで手がけた初の都市建築。鉄の素材の可能性を広げ、読書する環境に開放感を与えるという二点をテーマにした。今まで蓄積してきた自然環境を読み取る力を加えることで、都市部の中での心地よい図書館が生まれた」。2009年のミース・ファン・デル・ローエ賞の最終選考にノミネートされた作品でもある。

 垂直ラインを強調した黒塗りの鉄格子のファサードが、ダイナミックな存在感を示している。市内の至る所に見られるプラタナスの街路樹の奥に控えめに映る。図書館は古いアパート二棟をつなぐボックス状だ。ゲートの奥には塀に囲まれた遊び場があり、さらにその左奥にある高齢者センターと3つで組になっている。

街路樹のプラタナスとコントラストをなす黒い垂直ラインがきれいだ (写真:武藤 聖一)
街路樹のプラタナスとコントラストをなす黒い垂直ラインがきれいだ (写真:武藤 聖一)

遊び場側から見るアパート側のゲート (写真:武藤 聖一)
遊び場側から見るアパート側のゲート (写真:武藤 聖一)