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 スウェーデンの南部都市マルメとデンマークの首都コペンハーゲンが、エーレスンド海峡をまたぐ鉄橋とトンネルで結ばれて、早くも10年近くになる。車だとわずか十数分の距離に短縮された。当初の構想は、国境を超えた二国間の社会文化圏の確立だった。閉鎖された造船所跡地を中心とした再開発とニュータウンの整備がほぼ終った。頻繁に往来する列車など交通基盤を軸に人的交流が促され、想定通りのユニークな文化的都市空間がはぐくまれつつある。デンマーク人が職場をコペンハーゲンに、住居をマルメに置くことは、ある種のステータス的ライフスタイルだとも聞く。

 港から続く運河沿いに今春、マルメの地方裁判所と近隣のスコーネ・ブレッキング地方の上告裁判所を兼ねるビルが竣工し、オープンした。地下に駐車場や拘置施設を持つ総延べ面積1万800m2の地上5階建だ。ブラックダイヤモンドの愛称で知られるデンマーク王立図書館の設計者として知られるSHL Architectsが手がけた。総工費は日本円で46億円ほど。

運河沿いに建つマルメ地方裁判所。遠くにカラトラバ設計の高層建築「ターニング・トルソ」が見える (写真:武藤 聖一)
運河沿いに建つマルメ地方裁判所。遠くにカラトラバ設計の高層建築「ターニング・トルソ」が見える (写真:武藤 聖一)

 赤レンガの屋根を持つ1917年竣工の旧裁判所と、運河を挟んで向かい合って建っている。各フロアの窓に並行している水平のストライプは、黒塗りのファイバーコンクリート製。50、100、150ミリと異なった厚さで組まれているため、輪郭がはっきりとし彫刻的な重量感がある。ちょうど新旧の市街地の境界に陣取る格好で、後方にはカラトラバ設計のねじれた高層建築「ターニング・トルソ」が望める。

対岸にある旧裁判所 (写真:武藤 聖一)
対岸にある旧裁判所 (写真:武藤 聖一)

外壁はファイバーコンクリート製。サイズや厚さにバリエーションがあり、彫刻的な仕上がりになっている (写真:武藤 聖一)
外壁はファイバーコンクリート製。サイズや厚さにバリエーションがあり、彫刻的な仕上がりになっている (写真:武藤 聖一)