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 晩秋のニューヨークは日照時間が極端に短くなる。今回の滞在での最後の取材のため、まだ夜が明けない朝の6時45分ころから地下鉄42丁目駅を地上に出た6番街の交差点に立っていた。広報担当のDan Schwartz氏を待っていたとき、思いもよらない光景を目にした。コーヒーカップを手にしてタクシーから降りてくる人が結構いる。すべてがネクタイをしているわけではないが、ビジネスマン風の人たちが大勢、完成したばかりの超高層ビルに、吸い込まれるように足早に入っていく。

 これまでニューヨーカーは良く働くと聞かされていたが、早朝の7時前のこと。この時間帯の東京・大手町のビル街などでは決してありえないだろう出来事に、衰えたとはいえ24時間体制で世界のビジネスの中枢的役割を果たすニューヨーカーの素顔の一面を垣間見た。

 その超高層ビルとは、ミッドタウンの中心に位置するバンク・オブ・アメリカの自社ビル、バンカメタワー(Bank of America Tower at One Bryant Park)。54階建てで総延べ面積は19万5000m2、アンテナ部分の高さが366mあり、エンパイアステートビルに次いでマンハッタンで2番目の高さを誇る。Cook + Fox Architectsの設計で、およそ5年の工期と10億ドル(約900億円)をかけ竣工した超高層ビルである。

ブライアントパーク側から見上げたバンカメタワー (写真:武藤 聖一)
ブライアントパーク側から見上げたバンカメタワー (写真:武藤 聖一)

 米国には環境に優しい建造物に与えるLEEDという建築評価制度があることは、第119回のレポートで記した通りだ。このビルはそのプラチナレベルに承認されたマンハッタン唯一の超高層ビルだという。主な特徴として、コンクリートには55%のセメントと45%のスラグをミックスして使用している。1トンのセメントの生産には約1トンのCO2が放出されるというデータが出ている。