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南側より追手門学院大学のシンボルである1号館を見る。2階と3階を覆う壁面のキャストは、桜をモチーフとしたアルミ鋳造品。内側のガラスのカーテンウオールとの組み合わせでダブルスキンとしての機能を果たす。約65m×約9mの大きな壁面を3m×1.2mのキャストパネルをつなげて実現した(写真:生田 将人)
南側より追手門学院大学のシンボルである1号館を見る。2階と3階を覆う壁面のキャストは、桜をモチーフとしたアルミ鋳造品。内側のガラスのカーテンウオールとの組み合わせでダブルスキンとしての機能を果たす。約65m×約9mの大きな壁面を3m×1.2mのキャストパネルをつなげて実現した(写真:生田 将人)

 「追手門」といえば、創立120年を超える名門だ。芥川賞作家の宮本輝氏を輩出するなど、特に地元関西での知名度は高い。しかし、幼稚園から大学(大学院を含む)までを抱える追手門において「大学のブランド力は必ずしも高くない」(追手門学院の大木令司理事長)。新1号館は、ブランド力を向上する役目を担うことになった。

“花見”を楽しめるキャンパスに

 追手門学院大学は、大阪の郊外、茨木市に位置する。最寄り駅より山手へ車で20分ほど登ったところに真新しい正門を構える。そこから200m
続く桜並木を進み、左へ少しそれた先に大学の新たな象徴が建つ。2009年8月に竣工した新1号館だ。

 1号館は、学生生活の要となる建物である。キャンパスのほぼ中央に建ち、就職活動やレポートの提出のために学生が必ず訪れる場でもある。

 外壁を覆うキャストの存在感には誰もが圧倒される。満開の桜をモチーフにしたアルミの鋳造品だ。桜は、追手門の校章のモチーフになっており、キャンパスのいたるところに植わっている。2006年までは、桜の大木が大学のシンボルツリーとして立っていた。

 1号館の内部では、桜のキャストがさまざまな表情の影を壁や床に落とす。「花びらの密度や配置は、屋外からの視線を意識させず、外の眺めを阻害しないように計算した」と、設計者の三菱地所設計の須部恭浩氏は話す。キャストの内側に設けたガラスのカーテンウオールには窓もある。開けると風の流れや屋外の雰囲気を肌で感じることもできる。

キャストで意識改革狙う

 桜のキャストには「ブランド力の向上」という大学の望みを叶えるための“仕掛け”も施した。

 追手門学院が望むブランド力とは、入学試験における偏差値の高さなどではない。「立派な人物を世に送り出している」という社会的評価だ。このために大学が期待したのが、学生の意識改革である。大木理事長は、「最近はキャンパスに小汚い格好をした学生が増えた」と嘆く。大学への入学が当たり前になり、キャンパス生活が気軽なものになり過ぎていると映るようだ。意識改革を通じて「礼儀をわきまえた学生になってもらいたい」(大木理事長)。

 満開の桜は、存在感の大きさによって常に学生の意識に働きかける。濃い焦げ茶色のキャストは重厚感を漂わせる。

 機能面にも配慮した。アルミのキャストとガラスを組み合わせて、いまだかつてないダブルスキンを構築した。穴の開いたキャストを用いながらも、ガラスを二重にした通常のダブルスキンと変わらない環境負荷低減効果を発揮する。須部氏は「学生さんにも誇りをもってもらえる新しいタイプのダブルスキンが実現できたと思っている」と話す。

食堂より見た1号館(左)と中央棟・6号館(右)。1号館の1階には、学生が頻繁に通う教務課や学生課が入っている(写真:生田 将人)
食堂より見た1号館(左)と中央棟・6号館(右)。1号館の1階には、学生が頻繁に通う教務課や学生課が入っている(写真:生田 将人)