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 アムステルダムは、手のひらを広げた形状の指部分が市街地、指間は田園緑地帯という具合に隔たりをつけ、何世紀にもわたって放射的な発展を遂げてきた都市だ。現在でも、自然保護地区や厳格な建築基準があるため、郊外に個人住宅を建てるのは建築家にとって至難の業と聞く。

 この春アムステルダムの郊外に建築家の自邸が完成し、多くのメディアの関心を集めた。この住宅「Sodae House」を見てみることにした。市の南側、車だと20分ぐらいで行ける、アムステルフェーン自然保護地区の外れの運河に囲まれた小さな島にある。アイルランド出身の建築家、ドン・マーフィー(Don Murphy)氏が、奥さんと3人の子供のために約1億円をかけ、2年がかりで完成させた。地下を含め3層の、延べ床面積475m2の住宅である。彼はアムステルダムを本拠にするVMXアーキテクツの共同経営者の一人だ。

北側の庭から見る、ダイヤモンドのようにカッティングした家 (写真:武藤 聖一)
北側の庭から見る、ダイヤモンドのようにカッティングした家 (写真:武藤 聖一)

南側の庭に設置したすべり台の上からみる家 (写真:武藤 聖一)
南側の庭に設置したすべり台の上からみる家 (写真:武藤 聖一)

ガラスの窓が庭側に斜めに突き出ている (写真:武藤 聖一)
ガラスの窓が庭側に斜めに突き出ている (写真:武藤 聖一)

 この地区では原則として家を新築できないが、既存の建物がある場合には建て替えられる。ドン氏がインターネットを通じてこの土地を手に入れた時は、小さなコテージが2棟建っていたため、その家を取り壊す前提で新たな設計に入った。

 「1200m2の敷地内に最大で建築面積が189m2、建物の高さが7m、屋根の勾配が15~60度という建築基準をクリアしなければならなかった。地下26mまで杭を打ちその上に地下部を設け、屋根構造の代わりに壁面に勾配をつけ、コンクリートとガラス張りで構成した。ダイヤモンドをカットしたような彫刻的な建物になってしまった。だから、島は台座で家そのものがオブジェといった感じだ。やがて壁面はコケに覆われボリューム感を増し、周囲の環境に溶け込むようなシナジー効果に期待している」(ドン氏)。