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4月26日、大型複合施設「渋谷ヒカリエ」が開業した。東京・渋谷駅周辺大改造の第1弾となるこのビルには、建物に風の通り道を設けて、空調負荷を低減する工夫が盛り込まれている。省エネ設備の採用も併せ、高い環境性能を実現した。

 地下4階・地上34階建て、最高高さ182.5m、延べ面積は13万m2を超す複合施設が東京・渋谷駅前に誕生した。東京急行電鉄が、東急文化会館の跡地周辺の地権者5社を取りまとめて開発した「渋谷ヒカリエ」だ。

東急東横線渋谷駅側から見る。低層部の商業施設、中層部の文化施設、高層部のオフィスと用途ごとにファサードを分節した(写真:吉田 誠)
東急東横線渋谷駅側から見る。低層部の商業施設、中層部の文化施設、高層部のオフィスと用途ごとにファサードを分節した(写真:吉田 誠)

 地下3階から地上5階までを東急百貨店が運営する商業施設「ShinQs(シンクス)」が、6階と7階は東急電鉄が直営する26店舗の飲食店が占める。8~10階にはクリエーター同士の交流を促す複合スペース「8/(ハチ)」や大小2つのコンベンションホール、さらに11階から16階にミュージカル劇場「東急シアターオーブ」を配置した。17階以上の高層部は、基準階面積約2200m2、総貸し床面積約3万8000m2のオフィスに用いる。

 特筆すべきはその環境性能だ。東京都が認定する省エネルギー性能評価書では、ペリメーターゾーンにおける単位面積当たりの断熱・遮熱性能を示すPAL値の低減率は事務所部分が25.73%、百貨店が34.76%などと評価された。全ての用途で最高ランクのAAA評価を獲得している。設備システムの使用エネルギー低減率を示すERRでも、飲食店を除いてAAAを取得した。

 渋谷ヒカリエの設計は、日建設計と東急設計コンサルタントが共同で担当した。日建設計が外装デザインとホール、劇場、オフィス部分を、東急設計コンサルタントが低層部の商業施設を手掛けた。

 「事業計画の初期段階から、省CO2というテーマを打ち出していた」と、東急設計コンサルタント建築設計本部の遠藤郁郎・設計部長は振り返る。優れた環境性能を実現するために、平面・断面計画から設備に至るまで、様々な取り組みを盛り込んだ。

地下3階から地上4階までをつなぐ「アーバンコア」。最上部から見下ろす。人の動線になると同時に、外気に開いた「空気の動線」ともなる(写真:澤田 聖司)
地下3階から地上4階までをつなぐ「アーバンコア」。最上部から見下ろす。人の動線になると同時に、外気に開いた「空気の動線」ともなる(写真:澤田 聖司)

 建築面では、建物の断面方向に複数の空気の通路を確保した。例えば、地下3階と地上を結ぶ吹き抜けと、その北側にある地下3階から地上4階までを貫く円筒状のエスカレーターシャフト「アーバンコア」。隣接する東急東横線・東京メトロ副都心線の渋谷駅コンコースで発生する熱を、温度差による自然換気で上部に逃がす。