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エコハウスを設計する上で多くの人が考える“定石”は必ずしも当たっていない。こう指摘するのは、東京大学の前真之准教授だ。例えば、夏を重視していては、寒さのために冬を快適に過ごせない。


「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比(ころ)わろき住居(すまひ)は、堪へ難き事なり」。
 よく知られた吉田兼好の「徒然草」の一節だ。日本人の心にすっと受け入れられる名句ではあるが、実際のところはどうなのだろうか。
 世界の主要都市で気温を比べると、夏の東京は温暖地の中でもかなり高温で熱帯気候のジャカルタに近い(図1)。これは、実際の印象とほぼ合う。

パリ並みの冬の寒さを忘るべからず
図1:世界の主要都市における冬と夏の気温を比べた。WMO(世界気象機関)のデータベースから、1971年以降2000年までの2月と8月の平均値(資料:東京大学大学院前研究室)
図1:世界の主要都市における冬と夏の気温を比べた。WMO(世界気象機関)のデータベースから、1971年以降2000年までの2月と8月の平均値(資料:東京大学大学院前研究室)

 一方、冬はいかにも寒そうなパリやベルリンと大差ない。日本では「夏は熱帯」「冬は欧州」という両極端の気候が、1年の間に否応なく繰り返されている。夏も冬も厳しい気候の中で、日本の家はどのような要件を備えるべきか。