PR

世には本質から外れた「なんちゃって省エネ住宅」が少なくありません。住まい手とつくり手の双方が不幸に陥らないよう、正しい知識に基づいた家づくりが求められています。この分野で数多くの実績がある松尾設計室(兵庫県明石市)の松尾和也さんが、「なんちゃって」を脱するための連載を始めます。初回は、よくある勘違いを解きほぐします。(編集部)

 このたび、日経ホームビルダーとケンプラッツで連載を開始することとなりました。せっかくのチャンスですので、本誌でしかできないようなことをやろうと思います。その結果出てきたアイデアが、日経ホームビルダーが得意な「実験」を絡めることです。

 論文を書くわけはないので、厳密な意味での実験とは異なるかもしれません。しかしながら、実務者が普段から疑問に思っていること、可視化できれば一瞬で理解できることなどは多々あり、これらを中心に実験して解説記事を書いていければと思っています。

 連載で皆さんに知っておいてほしい基礎知識がいろいろあります。初回である今回はその辺りを説明します。

自然素材住宅はエコハウスにあらず

 省エネ住宅、エコハウス、スマートハウスといった言葉は、聞かない日がないほど広まっています。しかしながら、それらの目指す本質を理解し実践しようとしている住宅実務者がどれだけいるのでしょうか。思い返せば、残念ながら非常に少ないと言わざるを得ません。

 こういった言葉の本質は、持続可能性(サステナビリティ)に尽きます。CO2問題しかり、エネルギーの大半を輸入に頼っている我が国の現状をみても、持続可能性は非常に重要なテーマです。

 しかし、勘違いしている人が少なからずいます。ありがちなのが、自然素材を使えばエコハウスであるという勘違いです。確かに、エコハウスのなかに自然素材を多用した住宅はたくさん存在します。しかしながら、「自然素材住宅だからエコハウス」という論法は必ずしも成り立つとは限りません。自然素材住宅であっても断熱や気密の性能が低く、日射の取得や遮蔽がうまく制御できていないのであれば、冷暖房のエネルギー負荷が大きくなります。それは決してエコハウスではないのです。仮にそういった住宅が年に100万戸ずつ建っていったとすれば、持続可能な社会にはならないでしょう。