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隣棟間のプライバシーも確保

 もし、日本で同じことをやろうとしたら、「火災時の避難は? 消防隊の進入は? 面積の算定方法は?」など課題は多いだろう。しかし、バルコニーの樹木によって、隣棟間のプライバシーは程よく確保され、地上高くにいることを忘れてしまいそうな青々とした眺めがある。

室内とバルコニーのイメージ(写真:Kirsten Bucher)
室内とバルコニーのイメージ(写真:Kirsten Bucher)
室内とバルコニーのイメージ(写真:Kirsten Bucher)

 ありそうでなかった――。発明や創造は、その多くが公知の技術を組み合わせたものであるといわれる。ただし、特許を取得する場合を例にとると、発明とは公知の技術の単なる寄せ集めではなく、そこに進歩性が見られるかどうかが鍵となる。

 ボスコ・ヴェルティカーレは、都市では得難い広大な緑化面積を確保し、日射遮蔽効果によるCO2削減などにも貢献している。公知の技術を組み合わせることによって副次的に発生する構造や風害への問題に対処したうえで、新たな価値を生み出している。これはもう、一種の発明と呼んでよいのかもしれない。

繊細かつ様々な表情を見せるファサード(写真:Stefano Gusmeroli)
繊細かつ様々な表情を見せるファサード(写真:Stefano Gusmeroli)
繊細かつ様々な表情を見せるファサード(写真: Stefano Gusmeroli)

遠景。ボスコ・ヴェルティカーレは持続可能性などに優れたプロジェクトとして「International Highrise Award 2014」を受賞した(写真:Kirsten Bucher)
遠景。ボスコ・ヴェルティカーレは持続可能性などに優れたプロジェクトとして「International Highrise Award 2014」を受賞した(写真:Kirsten Bucher)


プロジェクト概要

発注者:Nihnes Italia SGR SpA per conto del Fondo Porta Nuova Isola
意匠設計:Boeri Studio(現Stefano Boeri Architetti and Barreca & La Varra)
構造・振動解析:Arup
建築設備、音響:Deerns Italia
ランドスケープ:Laura Gatti and Emanuela Borio
実施設計:Tekne
PM、コストコンサルタント:J&A Consultants
施工:1期 ZH General Construction Company、2期 Colombo Costruzioni
工事監理:1期 MiPrAv、2期 Studio Ceruti


菊地雪代(きくち・ゆきよ)
菊地雪代(きくち・ゆきよ)アラップ東京事務所アソシエイト/シニア・プロジェクト・マネージャー。東京都立大学大学院工学研究科建築学専攻修了後、設計事務所を経て、2005年アラップ東京事務所に入社。一級建築士、宅地建物取引主任者、PMP、LEED評価員(O+M)。アラップ海外事務所の特殊なスキルを国内へ導入するコンサルティングや、日本企業の海外進出、外資系企業の日本国内プロジェクトを担当。