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住宅の断熱性能をアップしたい場合、どこから手をつければいいでしょうか。断熱材の仕様から考える人が多いようですが、本当は、(1)窓、(2)換気、(3)外壁の順です。松尾設計室(兵庫県明石市)の松尾和也さんが、その理由をわかりやすく解き明かします。話題の床下エアコン暖房の設計手法も伝授します。(編集部)

 高断熱の重要性について講演すると、「どんな断熱材を使ったらいいですか?」と質問されることが多いです。しかし、この質問は大切な要素を飛ばしてしまっています。「どこから断熱を強化すべきですか?」というのが、最初にあるべき質問だと思います。

 コストパフォーマンス(コスパ)が最も高いのは、なんといっても窓です。その次は、第3種換気を第1種換気に変えることです。外壁の高断熱化は、コストパフォーマンスの観点で見ると3番手になります。

 それなのに、「どんな断熱材を使ったらいいですか?」という質問が多数を占めます。しかも厚さを尋ねない場合が大半です。ここから想像すると、高断熱化は壁や屋根の断熱材をグラスウール充填断熱からボード状断熱材に移行すること、もしくは外張り断熱に移行すること、といった先入観があるようです。また、こうした質問をする人は、熱伝導率と厚さの関係で導かれる熱抵抗値こそが重要だということも理解できていないようです。

 省エネ基準の計算方法が改正されて、外皮平均熱貫流値(UA値)が導入されました。外皮全体の熱貫流率を平均したものです。話を単純化するために、平面が3.6m×3.6m、天井高が2.4mの単室の平屋を考えてみましょう。

 床、屋根、天井とも熱伝導率0.038W/m2Kのグラスウールを厚さ100mmで、熱貫流率は0.038W/m2K÷0.1m=0.38W、窓はアルミ枠のシングルガラスでU値は4.65W/m2Kとします。最近の新築住宅はこの程度の水準が最も多いと思います。外皮の表面積は60.48m2で、窓面積は3.3m2、窓以外の面積は57.18m2です。

 まず、UA値を計算してみます。「0.38×57.18/60.48+4.65×3.3/60.48=0.36+0.25=0.61」となります。この計算式から読み取れるのは、窓面積に対して窓以外の面積が約20倍もあるのに、壁から熱が逃げる量(0.36)は窓から熱が逃げる量(0.25)の2倍もないということです。つまり、窓が極めて熱的に弱いということが分かります。