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 大阪府の住宅管理センターは,「2年前に府営住宅で発生した転落事故の原因は手すりを取り付ける金物の溶接不良にあった」として,金物を製造した東京の建築金物メーカーを相手取り,約9万3000個の部品の交換費用に当たる3億3000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたことを明らかにした。

 住宅管理センターの担当者によると,事故は2000年9月に大阪府堺市の府営住宅で発生。当時78歳の女性が2階から1階に手すりを伝いながら階段を下りていたところ,突然手すりが外れて転落し,首の骨を一部欠損し右大腿骨を骨折する大けがを負った。手すりは横棒と取り付け金具とを溶接してできており,この溶接部分から外れた。

 府はこの事故を受け,事故が発生したのと同種の手すりを取り付けてある172団地(1664棟)の4万3745本の手すりを点検。その結果,225本が揺すっただけで溶接部などから外れ,3289本でビスの緩みなどによるがたつきが見つかった。府は,高齢者対策として設置したものであることも考慮して,「金物の安全性に問題がある」と判断。事故後まもなく,4万3745本の手すりに使われていた約9万3000個の取り付け金具すべてを交換した。

 府はその後,建材の不具合の調査を公的試験機関に委託。2001年9月に「金物の溶接不良が原因」との調査結果を得て,2002年から建築金物メーカーとの間で調停に臨んでいた。しかし,調停は不調に終わった。このため11月19日,提訴に踏み切った。

(高津尚悟/日経アーキテクチュア編集)

■関連記事:日経アーキテクチュア2000年10月2日号17ページ