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 イタリア・ベネチアのサンマルコ広場の対岸に15世紀に建設された「海の税関(Dogna di Mare)」。国が所有するこの歴史的建造物を現代美術館に改修するプロジェクトが9月に着工した。

 設計は安藤忠雄氏。ベネチア市が主催したコンペで今年4月、ピノー財団と安藤氏による計画案が選ばれた。同コンペは、海の税関について、「どのような改修をするのか」のほか、「いくらで借り上げるか」など運営まで含めて提案するもの。最終的に2案に絞られ、安藤氏らの案が、ザハ・ハディド氏とグッゲンハイム財団による案に競り勝った格好だ。

 「これまでの改修で、もともとあったレンガの壁などが見えないようになってしまった。これを元に戻すという提案をベネチア市が高く評価してくれたようだ」と安藤氏は話す。

改修計画の模型。外観もファサードの復元や修復がメーン。開口部には鉄とガラスを用いる(以下3点の写真:安藤忠雄建築研究所)
改修計画の模型。外観もファサードの復元や修復がメーン。開口部には鉄とガラスを用いる(以下3点の写真:安藤忠雄建築研究所)

美術館内部の模型写真。南北方向に壁が仕切る当初のプランに戻すことを原則とする。建物の中央部にはコンクリートの箱を挿入して現代的な空間をつくり出し、新旧の要素を共存させる
美術館内部の模型写真。南北方向に壁が仕切る当初のプランに戻すことを原則とする。建物の中央部にはコンクリートの箱を挿入して現代的な空間をつくり出し、新旧の要素を共存させる

 敷地は、ドルソドゥーロ(Dorsoduro)島の突端にある「プンタ・デラ・ドガーナ(Punta della Dogana)」と呼ばれる場所。2本の運河に挟まれ、三角形を描く土地なりに海の税関が建つ。同税関は何度かの建て替えを経て、17世紀後半の改修で現在の姿になった。既に役目を終え、この数十年は一部を倉庫やオフィスに利用する程度だった。

サンマルコ広場から見た海の税関。建物の入り口はサルーテ教会に面している。「立地がいいだけに、やりにくい場所」と安藤氏は言う
サンマルコ広場から見た海の税関。建物の入り口はサルーテ教会に面している。「立地がいいだけに、やりにくい場所」と安藤氏は言う

 ピノー財団を率いるフランソワ・ピノー氏は、グッチやイヴ・サンローランなどを傘下に置く仏・PPRの創業者。安藤氏の設計でパリのスガン島にピノー現代美術館を建てる計画だったが、インフラ整備のめどが立たず、あきらめた経緯がある。

 新たに誕生する美術館は、ピノー氏が収集した2500点に及ぶプライベートコレクションの一部を展示する。2009年6月のベネチアビエンナーレに合わせてオープンする予定だ。