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 鹿島は、建物を下層階から解体する「KC&D(鹿島カットアンドダウン)工法」を開発。東京都港区にある旧本社ビル2棟の解体工法に採用した。「だるま落とし」のように下層階から順々に解体する工法で、従来工法に比べて上層階での作業を大幅に減らせる。騒音や粉じんの飛散の抑制、資源の分別やリサイクル作業の効率アップ、高所作業削減による安全性の向上につながる。足場や仮囲い、タワークレーンが要らないので、建物の規模によってはコストダウンも可能だ。

解体中の鹿島旧本社ビル。左の建物が右の建物よりも70cm下がっている(写真:本誌)
解体中の鹿島旧本社ビル。左の建物が右の建物よりも70cm下がっている(写真:日経アーキテクチュア)

一回に70cmジャッキダウンする。これを5回繰り返して、1フロア分が完了(写真:本誌)
一回に70cmジャッキダウンする。これを5回繰り返して、1フロア分が完了(写真:日経アーキテクチュア)

 新工法では、建物をジャッキで支え、解体しながらジャッキダウンする。その手順は、以下の通り。(1)鉄骨柱を70cm切断して引き抜く、(2)ジャッキで柱を支える、(3)すべての柱について(1)と(2)を実施、(4)建物を70cmジャッキダウン、(5)(1)から(4)の手順を5回繰り返して1フロア分(階高3.5m)の柱を撤去する、(6)柱の作業階より1フロア上の階で仕上げ材や梁を解体する――。ジャッキを用いて構造物を下から解体する工法は、煙突や鉄塔など工作物の解体に使われてきたが、高層ビルに適用するのは世界で初めてという。

柱を切断(写真:鹿島)
柱を切断(写真:鹿島)

切断した柱を撤去(写真:鹿島)
切断した柱を撤去(写真:鹿島)

柱を撤去した部分にジャッキを設置。建物の荷重をジャッキで受ける(写真:鹿島)
柱を撤去した部分にジャッキを設置。建物の荷重をジャッキで受ける(写真:鹿島)

ジャッキダウンして梁が地上付近に下りたところで撤去する(写真:鹿島)
ジャッキダウンして梁が地上付近に下りたところで撤去する(写真:鹿島)

 解体作業には騒音や粉じんがつきものだ。在来工法の場合、破砕機などの重機による解体作業が上階で発生するため、影響が広範囲に及ぶ。新工法では、地上階付近で解体作業ができるため、騒音や粉じんが及ぶ範囲を狭めることができる。

 1フロアの作業日数は、柱の撤去に2.5日、仕上げ材や梁の撤去に3.5日、計6日間になる。在来工法だと1フロア8日かかる。つまり、新工法なら1フロア当たり2日、20階建ての建物なら40日以上、短縮できる。

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