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 事業計画決定の段階でも、土地区画整理事業の取り消しを求める行政訴訟を提起できる――。静岡県浜松市上島駅周辺の土地区画整理事業に関する行政訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は9月10日、このような判断を示した。

 そのうえで、事業の取り消しを求める住民の訴えを却下した一審の静岡地裁判決、二審の東京高裁判決を破棄し、審理を一審の静岡地裁に差し戻した。

 1966年の最高裁判決では、「事業計画は、特定の個人に向けられた具体的な処分ではなく、青写真にすぎない」と判断しており、住民は事業に不服があっても、仮換地の指定を受けるまで提訴できなかった。この判決を42年ぶりに変更した今回の大法廷判決によって、住民は土地区画整理事業の取り消しなどを求めて、早い段階で提訴できるようになる。

 大法廷は10日の判決で、「事業計画が決定されると、施行地区内の住民は、建築規制を伴う土地区画整理事業の手続きに従って換地処分を受けることになり、法的地位に直接的な影響を受ける」と指摘。仮換地の指定後に提訴しても、工事も進み、換地計画も具体化している。この段階で事業計画の違法性が認められても、事業の混乱を理由に取り消しを認めない判決が下される可能性が高く、住民らの権利侵害に対する救済が十分果たされないとして、住民側の主張を認めた。

 行政訴訟に詳しい弁護士の日置雅晴氏は、今回の最高裁大法廷判決について次のように話している。「土地所有者の権利制限が伴う事業に対して、具体的な権利制限を伴って初めて取り消しなどを求める訴訟を起こすことができるとする従来の考え方を、根本的に変える判決だ。今後は、再開発や道路計画などの事業についても、計画段階で争える可能性が高くなるだろう」。

 判決によると、浜松市は2003年11月、遠州鉄道の高架化に併せて、上島駅周辺の公共施設の整備改善などを図るため、土地区画整理事業の事業計画を決定した。これに対して、同計画の施行地区内の住民が、「区画整理事業は公共施設の改善などにつながらない」として、決定取り消しを求めて提訴した。しかし、一、二審とも「事業計画が決定した段階での提訴は不適法」として、訴えを却下していた。