PR

 岩手県大船渡市内に約1100席の大ホールを擁した「リアスホール」が11月15日に完成した。地域の名勝である「穴通磯」をモチーフにした外観が特徴だ。市民会館として多くの意見を取り入れるために、延べ70回以上のワークショップを重ねて計画を練り上げた。

 建物は地下1階・地上4階建て。大ホールのほかに、16万冊を収容できる図書館、多目的スペース、展示ギャラリー、会議室などを持つ。外壁はコンクリート打ち放しだ。表面にはフッ素樹脂を3層に重ね、輝きを持たせた。

「リアスホール」の外観
地域を象徴する名勝「穴通磯」をモチーフにした「リアスホール」の外観(写真:大船渡市)

 建物内部も三陸のリアス式海岸を表現する工夫を施した。大ホールは扇状に座席を配置し、背もたれにコントラストのある8色の青い生地を使い、打ち寄せる波を表現している。2階席は海に向かう船をイメージした。ゴツゴツした岩肌を表現するため、建物内部の壁はどこも曲線を描き、凹凸を持つ。

レストランの内壁も海岸の岩をイメージした
レストランの内壁も海岸の岩をイメージした(写真:大船渡市)

 設計を担当したのはプロポーザルで選定された新居千秋都市建築設計だ。建物の機能や全体のコンセプト、ボランティアの組織作りといったソフトの部分も含めて請け負った。基本設計に入る前から市民との対話を積み重ねた。

 ファクトリーと呼ぶマルチスペースを設けるなど、ワークショップからは多くのアイデアが生まれた。当初は別の場所に建設を予定していた図書館も、住民の要望を取り入れ、併せて整備することにした。設計者はほぼすべての集会に参加。様々な提案を出した。

 同市では、こうしたプロセスを踏むことで市民会館への関心を高めることができたと評価する。当面は指定管理者制度を採用せず、ボランティアなどを活用しながら文化育成を促進するホール運営に努める。

所在地 岩手県大船渡市盛町字下舘下18‐1
発注者 大船渡市
設計 新居千秋都市建築設計
施工 戸田建設・匠建設JV
敷地面積 約2万1000m2
建築面積 5238m2 
延べ面積 9128m2
構造・規模 RC造一部S造、地下1階・地上4階建て 
工期 2006年7月~08年10月