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 2008年5月に発生した四川大地震から半年以上が経過し、被災地ももうすぐ09年を迎える。現地での復興支援活動には、日本の建築設計者も携わっていた。四川省成都市で、被害を受けた小学校の仮設校舎建設(08年9月に完成)を指揮した建築設計者の坂茂氏に、活動の経過と成果について聞いた。


Q 小学校の仮設校舎を建設することになったいきさつは。
 中国・北京市で活動する設計者の松原弘典氏や、慶応義塾大学の学生、四川省成都市の西南交通大学の学生と取り組んだ仮設住宅の建設がきっかけだ(日経アーキテクチュア08年8月11日号を参照)。この活動を機に、現地のNGO「土木再生」の仲介で成都市成華区教育局の依頼を受け、華林小学校の仮設校舎建設プロジェクトがスタートした。

完成した華林小学校の教室。坂氏は「紙管の構造で切妻の仮設校舎をつくるのは初めてだった」と語る。屋根は、直径24cmの紙管とテンション材で構成。6m×9mの広さがある教室は、全部で9室だ (写真:坂茂建築設計)
完成した華林小学校の教室。坂氏は「紙管の構造で切妻の仮設校舎をつくるのは初めてだった」と語る。屋根は、直径24cmの紙管とテンション材で構成。6m×9mの広さがある教室は、全部で9室だ (写真:坂茂建築設計)


Q どうして仮設校舎が必要とされたのか。
 中国政府のお金と建設会社は、被害が大きい場所にまわされた。その結果、被害の程度が低い成都市は後回しになった。しかし、実際には倒壊の危険があるために使用できない校舎があり、地元の行政は建て替えを望んでいた。支援の対象とした華林小学校では、3階建ての校舎2棟が使用禁止になっていた。そこで、既存の校舎を解体し、3棟の校舎を平屋で建設する話が進んだ。

Q 建設はおよそ1カ月で終了したと聞いた。
 私が建物を設計し、松原氏らが家具デザインを担当した。慶応義塾大学の学生、西南交通大学の学生、成華区教育局の教師からなる3チームに分かれて施工した。着工日は北京五輪の開催日の8月8日で、竣工は9月11日だ。夏休みの約1カ月を利用して完成させた。

華林小学校の外観。坂氏によると、海外での復興支援を成功させるには、窓口役を見つけることが重要だ。今回は、北京で設計事務所を主宰する松原弘典氏が、その役割を担った。金銭面について坂氏は、「持ち出しは多い」と笑う。松原氏によると、中国政府が設定した施工単価は、1m2当たりで400元(1元≒15円として6000円)だった。「精査していないが、400元/m2は上回っている。工場などをつくるよりは安いものの、仮設校舎としては少し高いのではないかという印象だ。今後のためには精査が必要」(松原氏) (写真:坂茂建築設計)
華林小学校の外観。坂氏によると、海外での復興支援を成功させるには、窓口役を見つけることが重要だ。今回は、北京で設計事務所を主宰する松原弘典氏が、その役割を担った。金銭面について坂氏は、「持ち出しは多い」と笑う。松原氏によると、中国政府が設定した施工単価は、1m2当たりで400元(1元≒15円として6000円)だった。「精査していないが、400元/m2は上回っている。工場などをつくるよりは安いものの、仮設校舎としては少し高いのではないかという印象だ。今後のためには精査が必要」(松原氏) (写真:坂茂建築設計)

◆next:材料は現地調達、施工は手作業で