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 今回は、今後取り壊される可能性の高い有名建築を紹介する。

 戦前の建物で2009年に取り壊される可能性が高いのは、東京女子大学体育館(1924年竣工)と大阪ビルディング(ダイビル、1925年竣工)。東女体育館はアントニン・レーモンドの設計。レーモンドの初期作品としては現存する数少ない建物で、卒業生や建築関係者を中心に数年来、保存運動が行われている。しかし大学側はキャンパス再整備に伴う取り壊しの方針を変えていない。

 大阪ビルディング(ダイビル)は、渡辺節の下で村野藤吾が製図主任を担当したとされるオフィスビルの名作。建築関係者のオフィスとしても人気が高かったが、周辺一帯の再開発に伴い解体されることが確実だ。

 戦後の建築で2009年に取り壊される可能性が高いのは、村野藤吾設計の早稲田大学文学部校舎(1962年竣工)と、竹中工務店設計による大阪の新朝日ビルディング(1958年竣工)。早大文学部校舎の建て替えは行政との調整が長引き、解体着手が延びていたが、早ければ6月にも解体が始まるという。

 新朝日ビルディングは、隣接する朝日ビルディング(1931年、設計:竹中工務店)とともに朝日新聞社が再開発する予定。先行して新朝日ビルディングの解体工事が年内に始まる見込みだ。

注:ここでは1920年以降に竣工した建物で、次のいずれかに当てはまるものを掲載した。(1)日経アーキテクチュアもしくはケンプラッツで保存・解体に関する記事を掲載した建物。(2)日本建築学会(データ中のG)もしくは日本建築家協会関東甲信越支部(J)もしくはドコモモジャパン(D)が保存要望書を提出した建物。ただし、事実関係がはっきりしないものは除外した。図中の「G0701」は「日本建築学会が2007年1月に保存要望書を提出」の意味。
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■今後、取り壊しの可能性が高い建物、論争渦中の建物
<1920年代前半竣工>

横浜松坂屋本館

設計:出浦高介、改修設計:鈴木禎次/1921年竣工/ 2008年10月に閉店、今後取り壊しの方針/G0808 、J0810


(写真:日経アーキテクチュア)

歌舞伎座
設計:岡田信一郎、改修設計:吉田五十八/1924年竣工/2010年に閉館後、取り壊し予定/G0604 、J0509


(写真:兼松紘一郎)

東京女子大学体育館
設計:A・レーモンド/1924年竣工/ 2009年中に取り壊し予定/G0701・J0701・D0703


(写真:兼松紘一郎)

<1920年代後半竣工>

大阪ビルディング(ダイビル)
設計:渡辺節/ 1925年竣工/再開発で2009年に取り壊し予定/ G0508


(写真:兼松紘一郎)

<1930年代前半竣工>

東京中央郵便局
設計:吉田鉄郎/1931年竣工/ 2011年度竣工の再開発で取り壊し予定/ G0507・0605・0806、J 9910・0512・0605・0806・0810 、D0605


(写真:兼松紘一郎)

朝日ビルディング
設計:竹中工務店/1931年竣工/隣接する新朝日ビルディングとともに再開発で取り壊し予定/ G0802・D0806


(写真:兼松紘一郎)

<1930年代後半竣工>

大阪中央郵便局
設計:吉田鉄郎/1939年竣工/2012年竣工の再開発で取り壊し予定/ G 0507・0605・0806 、J 0512・0605・0806 、D0605


(写真:兼松紘一郎)