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 制御機器メーカーのIDEC(大阪市)は、2008年3月に全館LED照明の新社屋「IDEC SALES OFFICE」(以下、IDEC)を完成させた。設置した自社開発のLED照明は、天井用の326台、ダウンライト130台などを含めて、合計560台に上る。

 社屋と内装の設計・施工、および基本的な照明計画は鹿島が手掛けた。消費電力削減効果はてきめんだった。08年4月~12月のLED照明全体の電力消費は累計で5万1805kWh。同社は、同じ条件でFL蛍光灯を使った場合の推定8万7550kWhに比べて、約40%を削減できたと試算している。

 消費電力を削減できても、肝心の照明効果が貧弱では意味がない。IDECでは、システム天井に設置したLED照明の光源が目立つこともなく、空間全体の自然な明るさ感も十分な印象を与える。各地から異動してきた社員たちは「蛍光灯と比べて、全く違和感がない」と口をそろえる。「LED照明を含めてオフィス全体の環境は、前よりもずっと快適で働きやすくなっている」という声が多かった。

 蛍光灯からLEDへ切り替える際は照明設計上の注意が必要だ。今回の成功のカギは、照明設計で言う“輝度対比”への配慮だろう。 蛍光灯は管の周囲360度に発光するフラットな光が特徴だ。これに対してLEDの配光角は最大で180度。大半は、レンズをかぶせた指向性の高いLED照明だ。

 床面や机上面など、必要な場所を明るく照らすことができるが、周囲は相対的に暗くなる。天井に設置したLED照明の光が拡散せず、机上面ばかり明るくなりがちだ。

 IDECのオフィスは、壁が白色。しかも、壁面に近い天井のLED照明が壁も照らすことで、壁面が間接照明になっており、明るい。こうすることで、光源を配置した天井面の明るさばかりが際立って、机上面や床面が相対的に暗く感じられてしまうことを防いだ。

 オフィスで最も気を使うのは机上面照度だ。机上面が暗いと文字が読みづらくなるなど作業効率が落ちる。ここではビーム角が80度のシーリングライトを、高さ2.7mの天井に1.8m間隔で設置。机上面照度950ルクスを実現した。JISが定める標準的なオフィスの明るさである750ルクスよりも明るい。器具配置の設計が行き届いていれば、快適な光環境をつくることができるのだ。

2階の執務スペースは、社員のコミュニケーションの風通しを良くするために、間仕切りを設けていない。1.8m間隔で並ぶシステム天井用LED照明は、天井だけでなく奥の壁面もリズミカルに照らし、間接照明の役割も果たしている(写真:井上 雅義)
2階の執務スペースは、社員のコミュニケーションの風通しを良くするために、間仕切りを設けていない。1.8m間隔で並ぶシステム天井用LED照明は、天井だけでなく奥の壁面もリズミカルに照らし、間接照明の役割も果たしている(写真:井上 雅義)

「600システム天井用LED照明」は出力3WのパワーLEDランプ20個を配列。色温度が温白色(3300K)と昼光色(6200K)の素子を交互に並べ、器具全体では4700Kに調整している。消費電力66W、全光束3150ルーメン、ビーム角80度に設定し、30度のカットオフ角に加えてアクリルカバーでー覆い、グレアを防いでいる(写真:IDEC)
「600システム天井用LED照明」は出力3WのパワーLEDランプ20個を配列。色温度が温白色(3300K)と昼光色(6200K)の素子を交互に並べ、器具全体では4700Kに調整している。消費電力66W、全光束3150ルーメン、ビーム角80度に設定し、30度のカットオフ角に加えてアクリルカバーでー覆い、グレアを防いでいる(写真:IDEC)

柔らかい光のLED照明 

 執務空間は蛍光灯のシーリングライト以上に、柔らかい光環境に仕上げている。

 「柔らかい光」の理由は、シーリングライトの設計にある。LEDモジュールを器具の奥に納め、ルーバーで囲み、乳白色のアクリルカバーで覆った。ルーバーがサンバイザーのような役割を果たし、アクリルカバーが光を拡散させることで、光がぎらぎらして見えるグレア(まぶしさ)を防いでいる。

 IDEC社長室広報担当推進リーダーの村上友衛氏は、「LED照明を開発する際、グレア対策も重視した。照明に詳しい社員も加わって設計し、試作を繰り返して製品化した」と語る。今後はコンピューターによる調光の集中管理システムなど制御技術の実用化を進める。

IDEC SALES OFFICEは、鉄骨造で地上2階建て、延べ面積は2379m2。1階はショールームと駐車場、2階は執務スペース(写真:IDEC)
IDEC SALES OFFICEは、鉄骨造で地上2階建て、延べ面積は2379m2。1階はショールームと駐車場、2階は執務スペース(写真:IDEC)

洗面台の間接照明には、40型蛍光灯相当の「LED屋内用ライン照明器具」を設置し、柔らかい光環境を演出。長さ500mm、全光束2300ルーメン、色温度は昼白色の6000K(写真:井上 雅義)
洗面台の間接照明には、40型蛍光灯相当の「LED屋内用ライン照明器具」を設置し、柔らかい光環境を演出。長さ500mm、全光束2300ルーメン、色温度は昼白色の6000K(写真:井上 雅義)

システム天井用LED照明を設置した2階ホールは、グレアもなく自然な光環境だ。天井端の「LEDダウンライト」は直径165mm、約28Wで、白色と温白色の2種類(写真:井上 雅義)
システム天井用LED照明を設置した2階ホールは、グレアもなく自然な光環境だ。天井端の「LEDダウンライト」は直径165mm、約28Wで、白色と温白色の2種類(写真:井上 雅義)

IDEC SALES OFFICEの電力使用量(毎月1日~末日の実測データ)