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建築家やデザイナーが手掛けた“デザインで魅せる”空間を、デザインキーワードでジャンル分けして紹介していく。そのキーワード「自然の翻案・地形的」の2回目は、インテリアデザイナーの杉本貴志氏がプロデュースした和食ダイニングレストランだ。





春秋ユラリ
[東京・恵比寿/和食ダイニング]


 JR恵比寿駅西口に程近い商業ビルの地下1階に、和食ダイニング「春秋ユラリ」はある。スーパーポテト代表の杉本貴志氏がオーナーを務め、東京・三宿や日比谷などに店を構える「春秋」の6店舗目としてオープンした。空間デザインのプロデュースも杉本氏が手掛けている。

(写真:白鳥 義雄)


 店内は、木々の葉の間から漏れる光を感じさせる「木漏れ日エリア」と水の光を感じさせる「波紋エリア」に分かれる。

 杉本氏は、「ゲスト自身の記憶の中にある『自然』を彷彿(ほうふつ)させる空間をつくった」と語る。ただし、本物の水を流したり、木々を植えたりするなどストレートな手法は使っていない。光を巧みに操りながら、ゲストの心に訴えることを狙った。

 エントランス奥に位置する木漏れ日エリアでは、ヒノキ突き板張りパネルの壁とスチールボンデ鋼板の天井に無数の穴を空けてLEDの光がエリア内に降り注ぐようにした。穴は9つのパターンをランダムに組み合わせてレーザーカットで加工している。壁面や天井に木を採用することで温かな雰囲気を持たせつつ、幾重にも光を重ね合わせることで木陰の下にいるような感覚を与えている。

 エントランス脇にある波紋エリアでは、ガラス製のパーティションに水滴を思わせる半球状のガラスを張り付けた。天井や床には、プロジェクターで照射した水盤の光を反射させて、水の揺らめく様子を映し出している。いずれのエリアでも、ゆったりと変化を繰り返す自然の表情を現代的に表現した。

 杉本氏は、自身が経営にかかわる店舗のデザインについて「責任はもちろんあるけれど、こうしたら面白いんじゃないかといつも興奮しながらつくる」と笑う。杉本氏の伝えたい新しい自然の形をダイレクトに感じることができる空間だ。


このプロジェクトは、日経アーキテクチュアが編集したムック「Designers’vol.1 2009」で紹介しています


プロジェクトデータ

■シュンジュウ ユラリ
□プロデュース/スーパーポテト(杉本貴志) 
□設計者/スーパーポテト(池上慶) 
□設計協力者/日本デザインセンター原デザイン研究所(原研哉)、晴耕社(碓井憲尚)、ウシオスペックス 
□所在地/東京都渋谷区恵比寿南1-7-8 恵比寿サウスワンB1F 
□業種・業態/和食ダイニング 
□運営者/春秋 
□施工者/滝新(雨宮徳治) 
□面積/296.82m2 
□客単価/ランチ1500円、ディナー8000円 
□開業日/08年6月
■仕上げ
□波紋エリア/床:白御影石張りJB 壁:ワラスサ入り吹き付け塗装ジョリパット爽土(指定色)〈アイカ工業〉 天井:PB+AEP 
□木漏れ日エリア/床:白御影石張り水磨き 壁:ヒノキ突き板張り(一部ヒノキ突き板張りパネルをレーザーパターンカット) 天井:スチールボンデ鋼板、レーザーパターンカット、塗装
■利用案内
□営業時間/ランチ11:30~14:30(LO14:00)、ディナー 17:30~23:30(LO22:30)※日曜~23:00(LO21:30) 
□定休日/夏季、年末年始
□電話/03-5725-7970 
□交通案内/JR恵比寿駅から徒歩3分


■デザイナー紹介

(写真:日経アーキテクチュア)


杉本 貴志

すぎもと・たかし/1945年東京都生まれ。68年、東京芸術大学美術学部卒業。73年スーパーポテト設立。現在、武蔵野美術大学教授を務める。

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