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 スペインの建築家、アルベルト・カンポ・バエザ氏の建築展「Campo Baeza Architecture. The Creation Tree」が、東京・乃木坂のギャラリー間で開催中だ。カンポ・バエザ氏はマドリッドを拠点に活動し、グラナダ貯蓄銀行本社(2001年)やデ・ブラス邸(2000年)などが有名。日本で体系的に紹介されるのはこの展覧会が初めてだ。6月24日に行われた報道発表会には、来日したカンポ・バエザ氏も出席。建築に対する思いのほか、スペインの建築家制度改正について持論を語った。

スペインの建築家、アルベルト・カンポ・バエザ(Alberto Campo Baeza)氏の建築展がギャラリー間で開催されている。6月24日の発表会には多くの報道関係者が集まった。8月29日まで(写真:ケンプラッツ)
スペインの建築家、アルベルト・カンポ・バエザ(Alberto Campo Baeza)氏の建築展がギャラリー間で開催されている。6月24日の発表会には多くの報道関係者が集まった。8月29日まで(写真:ケンプラッツ)

 まずは展示を見てみよう。

 会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは、カンポ・バエザ氏のデザインの原点であるスケッチを葉に見立てた樹木のインスタレーション“The Creation Tree”。会場で「Thinking With Your Hand」(手を動かして考えろ)とスケッチを描くことが重要だと唱えた。1万点以上のスケッチの中から500枚を選定。葉から葉へと視線を移していくことで、作品の成長と推移を見ることができる。

スケッチを樹木に見立てたインスタレーション“The Creation Tree”。カンポ・バエザ氏は、常にスケッチブックを持ち歩いている(写真:ケンプラッツ)
スケッチを樹木に見立てたインスタレーション“The Creation Tree”。カンポ・バエザ氏は、常にスケッチブックを持ち歩いている(写真:ケンプラッツ)

カンポ・バエザ氏のインスタレーション。1万点以上のスケッチの中から500枚を選定(写真:ケンプラッツ)
カンポ・バエザ氏のインスタレーション。1万点以上のスケッチの中から500枚を選定(写真:ケンプラッツ)

 ギャラリーの中庭から会場を見ると、展覧会を万物構成の礎である大地や樹、池、月に見立てた、カンポ・バエザ氏独自の静寂な風景が現れる。特に、樹木の虚構である影として見立てられた池には、カンポ・バエザ氏の象徴的な風景を映像としてスライドショーを表示している。

カンポ・バエザ氏独自の静寂な風景のひとつである池を模した展示。池は、樹木の虚像である影として見立てられ、カンポ・バエザ氏の象徴的な風景を映像としてスライドショーを表示(写真:ケンプラッツ)
カンポ・バエザ氏独自の静寂な風景のひとつである池を模した展示。池は、樹木の虚像である影として見立てられ、カンポ・バエザ氏の象徴的な風景を映像としてスライドショーを表示(写真:ケンプラッツ)

建築展を万物構成の礎である大地や樹、池、月に見立てた。天井の赤い丸は礎のひとつである月(写真:ケンプラッツ)
建築展を万物構成の礎である大地や樹、池、月に見立てた。天井の赤い丸は礎のひとつである月(写真:ケンプラッツ)

 庭から階段を上ると、代表作から進行中のプロジェクトまでを、模型や映像を用いて展示している。カンポ・バエザ氏自身が、主要作品の模型に囲まれながら創造のプロセスを語りかける。カンポ・バエザ氏の作品は、“More With Less”(少ないもので、より豊かなものを)という彼の言葉にあるように、外観がシンプルでありながら、内部は天窓などのガラスから取り込んだ、西ヨーロッパ特有の強い光を生かした崇高な空間となっている。

ギャラリー上階は、模型や映像を用いて、代表作から進行中のプロジェクトまでを展示。左は、カンポ・バエザ氏(写真:ケンプラッツ)
ギャラリー上階は、模型や映像を用いて、代表作から進行中のプロジェクトまでを展示。左は、カンポ・バエザ氏(写真:ケンプラッツ)

 カンポ・バエザ氏は、「Idea(概念)」「Light(光)」「Gravity(重力)」の3つを建築の主要な構成要素としている。最も基本的な要素は光ととらえる。「建築家はアーティストではない。建築のアイデアは空気中のミステリアスなものではない。景観、機能、経済性などから構成し、建築として具現化していくものだ」と語る。

 キュレーターとして展覧会の会場構成を手がけたマニュエル・ブランコ氏は、「カンポ・バエザ氏の建築は、世界に存在する建築のうち、最も純粋で根本的である。カンポ・バエザ氏の空間では、すべてのあるべきものは存在し、意識から消し去って良いものは一切存在していない。光を使いこなすことによって、時間と空間が存在意義を持つ」と語る。

キュレーターとして展覧会の会場構成を手がけたマニュエル・ブランコ氏。報道発表会で、カンポ・バエザ氏の建築について熱く語った(写真:ケンプラッツ)
キュレーターとして展覧会の会場構成を手がけたマニュエル・ブランコ氏。報道発表会で、カンポ・バエザ氏の建築について熱く語った(写真:ケンプラッツ)