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 日経アーキテクチュアとケンプラッツが主催した「LED照明セミナー&展示会」を採録する2回目。照明デザイナーの岡安泉氏が居住空間、シービーエヌ(内田洋行グループ)の八田政恭氏がオフィス空間、照明デザイナーの武石正宣氏が商業空間と、それぞれの分野でのLEDの採用事例などを解説。ディスカッションでは、同3人がLED照明の将来像を語り合った。

きめ細かい光のコントロールを実現


左から、日経アーキテクチュア プロデューサーの山本恵久(進行)、岡安泉照明設計事務所代表の岡安泉氏、シービーエヌ取締役特別顧問の八田政恭氏、ICE都市環境照明研究所主宰の武石正宣氏。6月3日に開催した(写真:吉田 明弘)


──LED製品の種類は着実に増えており、既にどの分野でも主照明として利用できるところまで来ています。将来像をどう見ますか。

岡安 エクステリアでは、スタジアムや駐車場のような大空間で積極的に採用されていくのではないでしょうか。現状では必要のない場所まで照らしてしまっていますが、LEDなら光をコントロールしやすく無駄が減らせます。

 一方、インテリアでは細かいグリッドで人の動きに連動させて、ミニマムなスペースに豊かな光空間をつくる方向性が考えられます。僕が「プレシジョン(正確な)・ライティング」と名付けたこの概念を広めたいと思っています。

岡安 泉氏/岡安泉照明設計事務所代表。1972年神奈川県生まれ。日本大学農獣医学部卒。ITL co.,LTD 、super robotなどを経て2005年に現事務所を設立(写真:吉田 明弘)


八田 現在、LEDは半導体工場で製造しており、需要が急増すれば供給がひっ迫する懸念もあります。普及のネックになっているのは価格ですから、高騰しないように生産をうまく管理してほしいですね。

 また、LEDにも半導体の制御システムを搭載してほしい。LEDも基本的なテクノロジーは半導体と同じですからできるはず。そうすれば利用範囲は大きく広がります。

八田 政恭氏/シービーエヌ取締役特別顧問。1948年山梨県生まれ。東京電気大学工学部卒。1971年内田洋行入社。キャビン工業社長を経て現職(写真:吉田 明弘)


武石 今、LEDは技術的にも使い方の面でも混とんとした状態だと感じます。一つ確かなのは「照明は人の快適さや安らぎをつくり出すためのもの」という原点。光源が変わっても求められることは同じです。

 白熱灯が登場してダウンライトが生まれたように、LEDの特性を生かした器具や使い方を追求する必要があります。今後数年は既存光源の代替と位置付けるとしても、その先はLEDでなければ不可能なサイズや形、手法などを模索する方向へ目を向けることになるでしょう。

武石 正宣氏/ICE都市環境照明研究所主宰。1959年神奈川県生まれ。多摩美術大学建築科卒。ウシオスペックス、海藤オフィスを経て1996年に現事務所を設立(写真:吉田 明弘)


岡安 武石さんは先ほどの講演で、ウエディング用のバンケットルームの事例を紹介していましたね。天井にLEDを埋め込んで、客数に応じてテーブルの上だけを照らすという。八田さんが紹介したユビキタス・プレイスの例もそうですが、これはまさに僕が言ったプレシジョン・ライティングの発想です。武石さんの例では、光で照らすエリアを特定するのに、プログラミングは相当細かく設定したのですか。

武石氏のかかわった「高崎モノリス」(群馬・高崎、08年)。設計;ラダックデザインアソシエイツ。バンケットルームの天井に調光LEDダウンライトを設置(写真:ナカサ アンド パートナーズ)


武石 クライアントが「専属の照明係がいなくても操作できるように、セミオートマチックにしてほしい」と要望したので、あまり詳細な設定はしていません。ソフトの進歩が追い付いていないので、細かくしすぎるとユーザーが使いこなせなくなるからです。LEDのプログラミングやセンシングは、まだ発展途上の段階ですね。

八田 丸の内あたりのオフィスビルを見上げると、真昼でもほとんど全部の蛍光灯がついている。本当にこれほど必要なのだろうかと思います。不要な場所の照明を削って必要なところだけ点灯させる仕組みは不可欠でしょう。2年後ぐらいには誰でも(個々の点灯を)操作できるぐらいにしないと。

内田洋行の新川オフィス。08年に既存の蛍光灯194本をLEDモジュール450枚に置き換えた。消費電力が8148Wから2830Wへ約65 %削減。年間約45万円のコスト削減に相当する。本誌09年5月11日号参照(写真:澤田 聖司)


武石 例えばオフィスの照明はこれまで、直管蛍光灯2列でピッチは2.5mなどと決まりきったものだった。けれども、これからの光は上からだけには限りません。ほとんど熱を持たず、小さくて薄くて軽いLEDなら、人の近くまで光源を持ってくることもできる。全く新しい照明空間をつくれるのです。