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自動車ショールームでは、省エネを図りつつ車体の魅力を引き出す演出が求められる。三菱自動車工業では、演色性が高く消費電力の低いHID(セラミックメタルハライドランプ)と、LEDや自然光の力を借りて、双方の目的の達成を目指している。

 三菱自動車工業の本社ショールームは、環境省が推進する2008年度の省エネ照明デザインモデル事業に採択された。08年8月に、携帯電話の販売店として使用されていた本社1階を同社のショールームとしてリノベーションすることを決定。同年10月に照明を省エネ設計にすることを決めた。

同社のCIカラーである白を基調にリノベーションした。白色は光の反射率が高く、省エネに向く色調だ。天井の黒いルーバーは解体せずに引き続き使用した(写真:環境省)

 照明デザインを含むリノベーションのテーマは、企業コミュニケーションワード「Drive@Earth」の理念、“地球を走る。地球と生きる”とした。照明の消費電力を削減することで地球との共存を目指すとともに、大地や風を意識したインテリアコーディネートでその理念を表現した。既存ショールームの照明パターンを基にして消費電力を算出し、比較すると、照明関連のCO2削減効果は37.0%になった。

 消費電力を抑えるために最も重視したのは光源だ。選択肢としては、LED、HID、蛍光灯の3種が考えられたが、「演色性を考慮して、LEDとHIDに絞った」。そうデザインを担当した乃村工藝社の高橋文朋氏は説明する。

 ショールームの主役である自動車の色を忠実に見せるため、演色性の高さは必須条件といえる。そのため空間全体のベース照明には、LEDよりも高効率でハイパワーのHIDスポットライトを使用した。ただし、自動車にはスポットライトの光は直接当てず、天井付近に取り付けた円形のディフューザーを通して当てている。自動車を美しく見せる柔らかく平面的な光をつくるためだ。車体のドア上部に横に走っている通称「ウェストライン」を強調し、車体を美しく見せる効果も得られる。

光を拡散させるディフューザーの素材は、柔軟な樹脂製シート。円形の枠には規則的にLEDを配している(写真:環境省)

 一方、間接照明にはLEDを使用した。例えば、イベントなどに使うステージの背景に造作したホリゾント、通称「コーポレートビジョンウォール」に用いた。自然をイメージさせる波状の模様が描かれたガラスの壁と、平行に並ぶ金属製の壁との間にLEDのアッパーライトを設置している。金属製の壁に反射したLEDの光に、ガラスの壁の模様が浮かび上がる仕掛けだ。

コーポレートビジョンウォール。三菱の「菱」の字をモチーフに、風を表現している。外光によって趣が変わる(写真:環境省)

 375m2の空間は、HIDスポットライトの光とディフューザーを通した光、LED間接照明の光が組み合わさることでメリハリがついている。ショーウインドー沿いの照明には、点灯と消灯の時刻をタイマーで自動設定した。すべての照明を終日、点灯するのではなく、ショーウィンドーやトップライトからの光を取り入れて省エネにつなげている。

ショーウィンドー沿いの照明は11~14時は消灯。ファサード部分のスポットは、半分は16時から、もう半分は20時から点灯(写真:環境省)

各ショールームへの展開は未定だが、省エネ照明に切り替えた効果は出ているようだ。「商談などで訪れるディーラーの社員は、消費電力の低いLED照明に興味を持ってくれる」と、三菱自動車工業商品戦略本部ブランド推進部の鴛海尚弥主任は話している。