PR
図1 パナソニックが発表した口金がE17の電球型LEDランプ。中央部に黄色の四角形の物体が、白色LEDモジュール。
図1 パナソニックが発表した口金がE17の電球型LEDランプ。中央部に黄色の四角形の物体が、白色LEDモジュール。
図2 電球型LEDランプの断面構造。下部の白色と黄色の2層構造になっている物体が、白色LEDモジュール。
図2 電球型LEDランプの断面構造。下部の白色と黄色の2層構造になっている物体が、白色LEDモジュール。

 白熱電球や電球型蛍光ランプの代替品として注目を集めている電球型LEDランプ。2009年9月10日に、ついにパナソニックが製品投入を発表した(関連記事)。これで、主要な国内メーカーがすべて出そろうといえる。電球型LEDランプ市場はメーカー間の激しい競争が始まっている。従来の半値近い値段での電球型LEDランプの市場投入をシャープが2009年6月に発表して以来、もともと同ランプを手掛けてきた東芝ライテックが値下げした品種の投入でシャープに対抗する形となり、そこに8月に発表したNECライティング(9月24日発売)、9月発表の三菱電機オスラム(9月21日発売)、そして今回発表したパナソニック(10月21日発売)が続く。

 このような群雄割拠の状況になると、各社にとって「製品の差異化ポイントは何か」ということが重要になってくる。上記のメーカーで最後発となるパナソニックが掲げる差異化ポイントは、「業界No.1の省エネ」(同社)である。総合効率(光源や電源回路を含むランプ全体での発光効率)は投入電力4W品(40Wの白熱電球相当の明るさ)で85.0lm/W、同6.9W品(60Wの白熱電球相当の明るさ)で82.6lm/Wと高い。ちなみに、シャープの電球型LEDランプでは74.7lm/W(60Wの白熱電球相当の明るさ)である。パナソニックによれば、高い総合効率を得るために点灯時の白色LEDパッケージの温度が上昇しにくいように、パッケージと筐体の密着性を上げて熱抵抗を下げるといった工夫を施した。それに加え、白色LEDパッケージも放熱を考慮した設計になっているという。LEDは一般的に、素子温度が高くなるほど発光効率(光源のみ)が低下するので、放熱性の高さは性能を左右する大事な項目である。この白色LEDパッケージをよく見ると、電球型LEDランプで先行した東芝ライテックやシャープの製品に比べ、実装方法や形状が大きく異なるのが分かる。

搭載する白色LEDパッケージは1個のみ

 シャープや東芝ライテックは、5mm角程度の白色LEDパッケージをランプに4~6個を実装している。それに対してパナソニックは、ランプ1個当たり白色LEDパッケージを1個しか搭載していない。同社が採用した白色LEDパッケージは、口金がE17の品種では一辺20mm前後、口金がE26の品種では一辺がそれより大きな正方形をしているという。白色LEDパッケージとしては大きな部類に入る。白色LEDパッケージには、放熱性の高いセラミック基板上に青色LEDチップを多数実装しており、それに黄色系の蛍光体材料を組み合わせている。今回、採用した白色LEDパッケージは豊田合成製で、実装したチップの個数については公表していない。

 大型の白色LEDパッケージを採用した利点は、パッケージの放熱面積を広く取れることである。その分、白色LEDパッケージから熱を筐体へ逃がしやすくなり、点灯時のパッケージ内の青色LEDチップの温度上昇をできる限り抑えて、発光効率を高い状態に保てるようにしている。なお、この効果を十分に生かすには、前出のパッケージと筐体の密着性向上といった筐体側の工夫は欠かせないといえる。

 大型白色LEDパッケージは、これまでにもあった。例えば、シチズン電子は青色LEDチップを24~72個搭載した品種を、IDECは青色LEDチップを27個や55個搭載した品種を公表している。大きなものでは、東芝ライテックが青色LEDチップを1000個搭載した75mm×56mmという極めて大きな白色LEDパッケージをスタジオ用スポット・ライトに搭載した例がある。大型白色LEDパッケージはおおよそ投入電力5W以上で、10Wを超えるものも数多く発表されてきた。

 ただ、電球型LEDランプでは大型白色LEDパッケージを搭載する例は珍しい。シャープや東芝ライテックなどが採用するような投入電力1Wクラスの白色LEDパッケージを複数個使う方が、「照明器具メーカーに好まれた」(あるLEDメーカー)からだ。電球型LEDランプの設計自由度を高められる上に、1Wクラスの品種は出荷数量が多いために価格もこなれているとみられている。パナソニックは今回、放熱性の高さとそれがもたらす高い発光効率を優先したようだ。

演色性の数値がやや見劣り

 パナソニックの製品は高い発光効率を得ている一方で、演色性(照明が物体を照らしたときの色の見え方)を評価する数値の平均演色評価数(Ra)は74と、80台をうたう他社品が多い中で比べると数値上見劣りする。一般に、青色LEDチップに黄色系蛍光体を組み合わせる白色LEDパッケージでは赤色系の光強度が弱く、そのため赤色の演色性が劣る。それがRaの低さにつながる。蛍光体を改良して赤色系を増やせばRaは高まるが、今度は発光効率が落ちてしまう。

 この点についてパナソニックは、決して演色性を犠牲にしたわけではないという。同社の製品発表会での説明員によれば、「Raの数値には表れていないが、人間の肌の色やマグロの刺身の色などもあざやかに見えるように蛍光体を工夫している」とする。現段階では電球型LEDランプの総合効率や発光効率といったエネルギー効率や値段が競いどころだが、今後はこれらに加えて演色性の高さも差異化ポイントになるだろう。そのとき、この数値に表れない効果をどのようにうたっていくかが課題になるのかもしれない。高い発光効率とRaを両立する蛍光体を求める声は、依然として高いといえよう。