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(写真:陶山 勉)
前原 誠司(まえはら・せいじ)
国土交通大臣、衆議院議員。1962年4月30日生まれ。1987年、京大法学部卒。同年松下政経塾に入塾。91年、京都府議会議員選挙で当選。93年、衆議院選挙で当選し国政に転身。日本新党、民主の風、新党さきがけを経て民主党入り。民主党ではネクストキャビネット社会資本整備担当大臣、新しい公共事業のあり方調査会会長、高速道路プロジェクトチーム座長、「次の内閣」安全保障ネクスト大臣、同・ネクスト外務大臣などを歴任。2005年9月から2006年4月まで民主党代表を務める。2007年8月から民主党副代表。好きな食べ物は鰻、たまご焼、麺類。趣味はSLの写真撮影など。

 2009年9月16日午後、民主党・鳩山内閣の閣僚名簿が発表された。国土交通大臣は、党副代表の前原誠司氏だ。前原氏は京都大学で国際政治学者、故・高坂正堯教授の下で学び、外交、安全保障を得意分野としていることで知られる。人物紹介の際には「政策通」と形容されることも多い。

 これまで外交・安全保障での発言がクローズアップされがちだった前原氏だが、公共事業や地方分権の問題にも精通している。当時の連立与党だった新党さきがけ時代の1994年には、予定価格の公表、最低限価格の撤廃、入札ボンドの導入などを盛り込んだ入札制度改革案をまとめ、業界団体から反発を買ったこともある。

 「日経コンストラクション」94年11月25日号に掲載されたインタビューでは、「業界の考え方をすべて飲むと改革にならない」「賛同できないなら、談合が法違反にならないよう合法化の運動をすればいいのです」と語り、改革への強い意志を示した。

 民主党に入ってからは、ネクストキャビネット社会資本整備担当大臣、新しい公共事業のあり方調査会会長、高速道路プロジェクトチーム座長などを歴任した。09年3月には、西松建設をめぐる政治資金規正法違反事件で小沢一郎代表(当時)の公設秘書が逮捕されたことに関連して、公共事業受注企業からの献金禁止に言及。「(献金禁止を)次期衆院選のマニフェストに盛り込み、国民の疑念を招かないようにしていく」と強調した*1

 「国の役割は、外交、安全保障、マクロ経済調整、教育、福祉に限定すべき」というのが前原氏のビジョンだ。ゆえに地方分権の推進論者でもある。08年9月には、PHP総合研究所社長の江口克彦氏らとの共編著で『日本を元気にする地域主権』を上梓。同書のなかで前原氏は、地域主権社会の確立が戦略性のある国家体制への転換を可能にするとしたうえで、そうなれば「国会議員は、地元や業界団体の利益誘導から解放され、国際感覚と経営感覚を持った者だけが望まれる職業になり得るだろう」と持論を展開している。一朝一夕に実現する話ではないが、この考え方に沿うなら公共事業のカネの流れも大きく変わる。

 前原氏の国交相就任については、「自民党政権の外交政策と重なる面が少なくないことなどから外交・安保分野での大臣起用が見送られた」「冷遇すれば反小沢の火種になる可能性もあり、看板政策である高速道路無料化などに取り組む国交相として処遇した」といった見方もある*2。どのような経緯で就任が決まったにせよ、公共事業に大きなメスを入れようとしている民主党のマニフェストと前原氏の考えとの間には、大きなぶれはなさそうに見える。

入札制度改革について語る新党さきがけ時代の前原氏(「日経コンストラクション」1994年11月25日号)



*1 共同通信 2009年3月14日。なお、現在の民主党のマニフェストには「公共事業受注企業からの献金禁止」が盛り込まれている。
*2 日本経済新聞 2009年9月15日