環境意識の高まりを背景に、LEDや有機ELといった次世代の照明が注目を浴びている。寿命が短く消費電力の大きな白熱電球の製造・販売を中止し、より高効率の照明に切り換えようという機運が世界的に高まっているからだ。日本でも経済産業省らの要請に応えて、東芝ライテックが2010年をメドに白熱電球の製造を原則中止することを表明している。
有機EL照明は発光効率がまだ低く量産化は2012年以降とみられているものの、LED照明は当面の白熱電球代替の最右翼候補だった蛍光灯を追い越す勢いで急浮上している。
オフィスや店舗から導入進む
白熱電球からLEDへの移行に当たって、まず普及が見込まれている照明は、オフィスや商業施設などで使われているダウンライトである。インバータ型の蛍光灯を主照明とし、それにLEDのダウンライトを組み合わせるという構成が想定される。実際に、主要な大手照明メーカーはこぞってLEDのダウンライトを商品化している。当面、LED照明は補助的な照明との位置付けである。だが、2011~2012年ごろには主照明としての普及も期待されており、早晩LED が照明の主役になるのは間違いない。
この普及を後押しするのが白色LEDの技術進化だ(図1)。現在の白色LEDパッケージの発光効率は100lm/W前後。照明器具の総合効率でも70~80lm/W前後まで高まっている。しかも、「150lm/Wは既に射程内」(LEDパッケージ・メーカー)。2012年ごろには実現するとみられており、蛍光灯を上回る効率となる。
普及の足かせとなっている価格も、「LEDパッケージの価格は年率1~2割は下がっているのではないか」(LEDパッケージ・メーカー)といわれており、今後数年で大きな障壁ではなくなるだろう。2010年には、普及のしきい値とされる1円/lmまで下がるとみられている。蛍光灯の4倍近いLED 照明の寿命を考えると、総合コストで十分蛍光灯の代替照明となり得る。