環境省主催の「省エネ照明シンポジウム~あかりが導く低炭素社会~」が2009年10月20日、日経ホール(東京都千代田区)で実施され、「平成21年度・省エネ照明デザインモデル事業」の採択事業者が発表された。
同モデル事業は、各施設の特性に応じて照明器具の配置や光源の使い方を見直し、優れた省エネ効果と魅力的な空間を両立する“省エネ照明デザイン”の設計を行うもの。採択されると上限400万円の設計・調査費が支出される。事業者は、同設計に基づいて省エネ照明を導入した後、CO2削減効果などを環境省に報告。同省は、省エネ照明導入の先進モデルとして、各施設で用いられた省エネ照明の導入手法やアイディアを普及していく。
6月5日から公募を開始し、51件の応募の中から審査委員会が10件のモデル事業を決定した。採択されたモデル事業は以下のとおり。
(1)「明るさ感と安全性に配慮しながら、省エネを実現する商業施設共用通路スペース」
【施設名】アーバンドック ららぽーと豊洲(東京都江東区)
【目標CO2削減量】約86%
【採択理由】明るさ感を保ちつつも安全性にも配慮した照明により、ショッピングセンターの共用通路空間における省エネを目指している点を評価した
【事業者】三井不動産
【竣工予定時期】2009年12月上旬
(2)「省エネ光源による、高齢者や患者にもやさしい照明を採用した病院」
【施設名】医療法人桜十字病院 本館5階病棟(熊本市)
【目標CO2削減量】約46%
【採択理由】高齢者が暮らす場における、明るさの設定や眩しさの軽減といったきめ細かい配慮を、省エネ光源により実現しようとする試みを評価した
【事業者】医療法人桜十字病院
【竣工予定時期】2010年2月下旬
(3)「効果的に光を用い、良好な夜間景観に配慮したガソリンスタンド」
【施設名】エッソタウン ナルト サービスステーション(徳島県鳴門市)
【目標CO2削減量】約66%
【採択理由】高効率・高演色の光源とグレアレスの器具を使用し、漏れ光の少ない効率的な照明による省エネと、併せて周辺の夜間景観の向上に寄与しようとする姿勢を評価した
【事業者】篠原石油
【竣工予定時期】2009年11月下旬
(4)「センサー制御により、省エネを視覚的にアピールする学生ラウンジ」
【施設名】学校法人片柳学園蒲田キャンパス新校舎(東京都大田区)
【目標CO2削減量】約43%
【採択理由】人感センサー・明るさセンサーにより自動調光制御された省エネ光源を用いた点や、照明器具デザインへの積極的な試みを評価した
【事業者】学校法人片柳学園
【竣工予定時期】2010年2月下旬
(5)「省エネを図りながら、展示車を魅力的に見せる屋外展示スペース」
【施設名】ガリバー4号須賀川店(福島県須賀川市)
【目標CO2削減量】約60%
【採択理由】長寿命光源によるベース照明と高効率光源のスポットライトの併用や、LEDによる看板照明など、自動車展示空間における省エネかつ効果的な照明を評価した
【事業者】ガリバーインターナショナル
【竣工予定時期】2010年3月上旬
(6)「雰囲気づくりのために照明器具デザインにも配慮した、オールLED照明の省エネ店舗」
【施設名】ケンタッキーフライドチキン久米川店(東京都東村山市)
【目標CO2削減量】約43%
【採択理由】店舗内の照明を全てLED照明にし省エネを図ると同時に、照明器具デザインにも配慮した明るく楽しげな雰囲気づくりを目指す姿勢を評価した
【事業者】日本ケンタッキー・フライド・チキン
【竣工予定時期】2009年12月中旬
(7)「発熱量の少ない省エネ照明の採用による、商品特性に対応した店舗」
【施設名】ゴディバ神戸・三宮さんちか店(神戸市)
【目標CO2削減量】約48%
【採択理由】照明の効果や効率の改善に加えて、商品にも影響を及ぼす照明器具による発熱にも配慮した、LED照明による省エネの検討姿勢を評価した
【事業者】ゴディバジャパン
【竣工予定時期】2009年11月上旬
(8)「トップライト、太陽光発電、LED、3つの要素のコンビネーションによる先端的な省エネコンビニ
【施設名】セブン‐イレブン 京都出世稲荷前店(京都市)
【目標CO2削減量】約30%
【採択理由】トップライト(自然光)、太陽光発電、LED、各種センサー、内装材見直しといった、各種手法を積極的に採り入れた、総合的な省エネ計画を評価した
【事業者】セブン‐イレブン・ジャパン
【竣工予定時期】2009年12月上旬
(9)「博物館の展示ケースのために独自開発された、専用LED照明器具による省エネ照明」
【施設名】仙台市博物館(仙台市)
【目標CO2削減量】約44%
【採択理由】博物館展示ケース専用の多灯式LED器具の独自開発という、省エネへの積極的な取り組み姿勢を評価した
【事業者】丹青社
【竣工予定時期】2010年3月下旬
(10)「LEDダウンライトを主体として用いた、省エネのカラオケルーム」
【施設名】ビッグエコー広島流川通り店(広島市)
【目標CO2削減量】約85%
【採択理由】各空間の用途に合わせた照明による、LED照明を主体とした省エネへの積極的な取り組み姿勢を評価した
【事業者】第一興商
【竣工予定時期】2009年12月上旬
なお、2010年3月に、CO2削減量など各事業者の取り組みの成果を発表する予定。
審査委員会のメンバーは、下記のとおり。
委員長 大谷義彦(日本大学生産工学部電気電子工学科教授)
委員 赤塚美津雄(日本照明器具工業会専務理事)
委員 石井幹子(石井幹子デザイン事務所代表)
委員 川村眞兄(イネクス代表取締役)
委員 武内徹二(日本電球工業会専務理事)