オランダNXP Semiconductors NVは、11月17日に国内報道機関向けに説明会を開き、同社の照明用ドライバIC事業などを紹介した。登壇したのは、同社のStephane Curral氏(General Manager, Power & Lighting Solutions Product Line,BL AMS)である。
同氏の部門は、AC-DC変換ICが主力製品で、説明会ではノート・パソコンのACアダプタ向けのICや、照明用のドライバICなどを主に紹介した。オランダRoyal Philips Electronics NVからスピンオフした半導体メーカーだけあって、照明用のドライバICではシェアは1位だという。
今回は、その中から、高周波点灯の蛍光灯であるHF-TL(high frequency tube lamp)や、自動車などで使うHID(high intensity discharge)ランプ、電球型蛍光灯、LED照明向けのドライバ/コントローラICについて説明した。力が入っていたのは、これからも高い成長率が見込まれるLED照明と電球型蛍光灯である。
Curral氏が紹介したDatapoint Research社の予測では、LED照明の市場規模は2013年までに4億米ドルに成長するという。そのドライバ/コントローラICの市場には多数の半導体メーカーが参入している。競合と比べた際のNXPの強みについて、Curral氏は次のように説明した。
150℃でも7000時間以上の寿命
まず、LEDの製品寿命に匹敵する信頼性試験結果を公表している「唯一」(同氏)の半導体メーカーだという。「例えば、電球型のLED照明は4万時間程度を寿命としている製品が多い。ただし、そこで使われているICに関しては、そんなに長期の製品寿命があることはどこにも書かれていない」(NXP セミコンダクターズジャパン)。
NXPによれば、同社のLEDドライバIC(コントローラ+駆動用FET)の「SSL2101」の信頼性試験を実施したところ、周辺温度が 105℃の場合、推定製品寿命は6万時間以上、115℃では3万5000時間以上、125℃では2万時間以上、150℃でも7000時間以上だったという。「電球型LEDランプで、ドライバICが壊れて、ランプの寿命が来ることは望ましくない。われわれの製品ならば、そのようなことはない」(Curral氏)。
調光器への対応の良さも特徴だとした。ほとんどのトライアック調光器やトランジスタ調光器に対応し、かつ10~90%の深調光に対応して、白熱電球と同等の自然な調光カーブを実現可能だとする。さらに小型・高集積で、電球型LEDランプ向けのICの中で、外付け部品が最も少ないという。また、絶縁型フライバック回路構成と非絶縁型バック・コンバータ回路構成の両方に対応していることも特徴だと述べた。
現在、同社は調光機能のあるLEDドライバIC、同機能のないLEDドライバIC、さらに街灯などの高出力LEDに向けたコントローラICをそろえている。
電球型蛍光灯向けICでシェア1位を狙う
LED照明が広く普及するには時間がかかる。その前には、いわゆるグリーン化の中で、白熱電球を電球型蛍光灯に替える動きが加速する。 Datapoint Research社の予測では、2012年までに電球型蛍光灯の販売量は50億個に達するという。Curral氏によれば、こうした流れの中で、電球型蛍光灯の高品質化/低消費電力化が求められており、NXPにはチャンスだという。
同社の電球型蛍光灯向けのドライバICには、次のような特徴があると同氏は言う。スイッチ用FETやブート・ストラップ・ダイオードを内蔵して小型化していること、深調光やステップ調光といったさまざまな調光への対応、特許を取得した独自技術による短い点灯時間などである。同氏によれば、電球型蛍光灯向けのICの市場でNXPは2008年には2位だったが、2009年は1位になれると言う。