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 既存住宅の流通量が、5年後には新築住宅に迫る可能性も─。そんな予測を、社団法人不動産流通経営協会が、2009年4月にとりまとめた(下のグラフ)。人口・世帯数の推移や、住宅ストック推計、住宅需要実態といった各種の公的データをもとに、2015年までの新築住宅(賃貸住宅などは除外)、既存住宅の流通量を予測したものだ。

 既存住宅では、所得や世帯人員、地価などが標準的に推移した場合の「シナリオ1」と、既存住宅の流通を促す施策を講じた場合の「シナリオ2」の二つのケースを予測した。

 それによると、新築住宅が減少していく一方、既存住宅の流通量は着実に伸びる。特に、シナリオ2では、既存住宅の流通量が、新築に肉迫する予測が出ており、ストック住宅時代の本格的な到来を予感させる。

 そんな予測が発表された直後の2009年7月、既存住宅の流通促進を目指す「リノベーション住宅推進協議会」が発足した。デベロッパーや建設会社、建材会社など約200社が会員に名を連ねる。

 「日本には、既に多数の住宅ストックがある。一方、ここ2、3年で、リノベーションという住まいの選択肢があることに、多くのエンドユーザーが気付き始めた。マーケットの変化は意外に早く訪れており、今しかないと考えた」。この時期に発足した理由を、同協議会副会長の内山博文氏はそう説明する。

 同協議会では、改修の品質を確保するための「優良リノベーション住宅」の基準づくりなどを進め、社会的な信用が得られるような既存住宅の市場整備に取り組む。

 「ここ1年ほどの購入者を見ると、新築を買う資金のある人が、自由に設計できて価格の安いリノベーション住宅を選ぶ傾向を感じる」。そう話すのは、リビタ(東京・渋谷区)PRコミュニケーションデザイン部チーフの木内玲奈氏だ。

 同社は、企業の社宅などを買い取り、購入者ごとに自由に改修できるマンション住戸を分譲するなど、大規模な住宅リノベーション事業を手掛けている。

 同社では、標準的な改修案を示して、マンション住戸を販売する一方、購入者ごとの自由設計にも対応する。その分だけ、購入者には費用負担が生じるが、それでも「最近は、購入者の約3分の2が、自由設計を選ぶ」(木内氏)という。

 不況や将来への不安などのネガティブ要因が作用し、住宅購入も節約傾向にあることは明らかだが、エンドユーザーに「中古住宅を自分らしく改修して使う」という意識を定着させるには格好の時期を迎えていると言えそうだ。

 日経アーキテクチュア2009年12月14日号では、住宅改修に積極的に取り組む設計者7組(駒田建築設計事務所、スキーマ建築計画、アトリエOPA+ビルディングランドスケープ、村上建築設計事務所、キー・オペレーション、UUfie、オープン・エー)の近作を紹介するとともに、彼らがこれまでの経験から培った「見せる技」、「見えない配慮」について聞いた。