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 「建て主の予算を大幅に超過する設計は認められない」。ある住宅の設計を巡って東京高裁が下した判決が2009年9月に確定した。判決文によると、被告となった設計者は予定工事額4500万円と契約書に記して建て主と設計契約を締結。実施設計後に工務店が見積もった工事費は7700万円以上だった。

 裁判所は、設計者が建て主の予算などを確認せず、予算を大幅に超過する設計をしたことは債務不履行であり、建て主は契約解除できると認めた。さらに、設計者は労力や費用を費やしたとしても、建て主に対価を請求できないと断じた。

 日経アーキテクチュアが建築実務者を対象にアンケートした結果、233人の回答者のうち33.9%が予算を巡って建て主とトラブルになったことが「ある」と答えた。

(資料:日経アーキテクチュア)

 トラブルの具体例として、以下のような回答が寄せられた。「夫妻から設計を頼まれた。妻が途中で追加事項を求めるので設計に反映し、予算増額の承認も得た。ところが、工事費の見積もりを取る段階で夫が増額を拒否した」

 建て主と設計者とのコミュニケーション不足が原因とみられるトラブルも少なくない。「建て主が示した予算を目安と考えて基本設計し、予算をやや上回る概算工事費を示した。しかし、予算を上限だと考えていた建て主から『無能な設計者だ』とののしられた」という声も上がった。

 多くの建て主は、予算と比べて過大な要求をしがちだ。トラブルを未然に防ぐには、早い段階での夢と現実の擦り合わせが欠かせない。アンケートの結果、回答者の53.2%がプロジェクトの予算を契約書に「明記している」と答えた。