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 日経アーキテクチュアではこのほど『NA選書 住宅プラン図鑑』を発刊した。その中から、採光にひと工夫ある富山市内の住宅「スケルトン・ウォール」を紹介する。

東面のファサード。パンチングメタルは2種類あり、穴の小さい方が耐力壁で、穴の大きい方は意匠。2種類を市松模様に配して、リズム感のある表情にしている(写真:内山 昭一)
東面のファサード。パンチングメタルは2種類あり、穴の小さい方が耐力壁で、穴の大きい方は意匠。2種類を市松模様に配して、リズム感のある表情にしている(写真:内山 昭一)

 「スケルトン・ウォール」の敷地は、東と北面が道路に面し、南に3階建ての作業所、西は宅地という富山市内の住宅地だ。広さは「富山にしては狭い」という約37坪で、余裕はない。「将来は小さいお店もできる個性的な住まいにしたい」と建て主は希望した。

 設計を依頼された濱田修氏(濱田修建築研究所、富山市)は不利な採光条件を克服し、店舗としても使える印象的なファサードをつくるため、通りから見渡せる東側全面を開口部にすることにした。こうすれば「日中の室内は明るく、夜間は建物が光を放つランプシェードのようになる」と考えたのだ。

2階のリビングダイニング。左側の壁が東側の開口部。日差しが強いと、穴の輪郭がはっきりと見え、曇天になると輪郭が消えていき、全面乳白色に変化する(写真:内山 昭一)
2階のリビングダイニング。左側の壁が東側の開口部。日差しが強いと、穴の輪郭がはっきりと見え、曇天になると輪郭が消えていき、全面乳白色に変化する(写真:内山 昭一)

 とはいえ、建物は木造の4号建築物として確認申請をするつもりだったので、東面にも耐力壁が必要になる。最初の案では、均等に柱で区画した上下階の壁に、長い筋交いを規則的に入れ、全面を開口部にした。濱田氏は構造家の大野博史氏(オーノJAPAN、東京都渋谷区)に、「筋交いはどのくらい小さくなるか」と相談した。大野氏の答えは「厚さ15mm、見付けの幅は90mm」。両氏とも「けっこうゴツイ」と感じた。

最初に考えた長尺の木の筋交いを入れた案(模型写真:濱田修建築研究所)

 そこで筋交いをもっと小割りにして材の寸法を求めた。しかし、小さくすると引っ張り力だけでなく圧縮力もかかるため90mm角になる。やはり「ゴツイ」。

木の筋交いを細かく入れた第2案(模型写真:濱田修建築研究所)

 その次には筋交いの代わりに、木材よりも細身の鉄筋ブレースを検証してみた。しかし、鉄筋の線の存在感が気になった。こうした試行錯誤を重ねるうちに、鉄筋ブレースの断面積と同等の金属断面があれば、それに相当する強度があることに気付き、パンチングメタルに行き着いた。

木より細身になる鉄筋ブレースにした案(模型写真:濱田修建築研究所)

斜材の形が消えたパンチングメタルの最終案(模型写真:濱田修建築研究所)