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電力はピーク時から2割減

 一方で省エネビルは、毎年、削減の成果を求められるビル管理者にとっては、やっかいな存在だ。既に高い環境性能を備えている分、削減可能なのりしろが少ないからだ。それでも、東京都に提出された報告書に記された通り、このビルも年を追うごとに排出量を減らしてきた。

05年度 4261t
06年度 4185t
07年度 4088t
08年度 4046t

 三井住友海上が、これまでに実施した主な対策と温室効果ガスの推定削減量は以下の通りだ。

▼非常階段の照明をセンサー付きに更新(概算工事費3500万円):19t
▼非常口誘導灯の更新(概算工事費5000万円):23t
▼外気取り入れ量の制限(概算工事費2200万円):58t
▼空調機のフィン洗浄の徹底(概算工事費1200万円):91t
▼夏期給湯停止(概算工事費0円):1t
▼各階ダウンライト器具を電球型から蛍光灯型に更新:(概算工事費890万円):48t
▼冷暖房用ポンプインバーター更新:(概算工事費960万円):2t
▼インバーター安定器の更新および器具更新:(概算工事費1億4000万円):82t
▼クールルーフ(高反射率塗料の塗布):(概算工事費630万円):19t

 ワーカー数約2500人を想定して建てられた駿河台ビルには、現在約3000人が働いている。電力量のピークは99年度の964万kWh。それが省エネ対策の積み重ねで、09年度には2割減の748万kWhになっている。

 もう一つ、興味深い記録がある。建築専門誌「日経アーキテクチュア」の1984年12月17日号の記事によると、駿河台ビルは完成時点で1m2当たりの年間エネルギー消費量1255MJ(記事中の300Mcalを換算)を想定していた。当時の一般の高層本社ビルの半分強の値で、省エネ性能の高さを示している。

 時を経て、三井住友海上が東京都に届けた、駿河台ビルの08年度のエネルギー消費量は1m2当たり1250MJ。IT化が進み、ワーカー数が増え、途中ではエネルギー消費が増えたであろうに、今は建設当時に想定したエネルギー消費で済んでいる。建物における環境改善が、高いビル性能と企業の方針、そしてビル管理スタッフの努力によって成り立つことの証である。

<ビルの概要>
ビル名:三井住友海上駿河台ビル
所在地:千代田区神田駿河台3-9
構造:S造、SRC造、RC造
階数:25/3
延べ床面積:7万5610m2
竣工:1984年
設計:日建設計
建築施工:鹿島・三井建設・大成建設・大林組・フジタ・錢高組JV
電気施工:三機・近畿電気・関電工・東光・東海JV
空調施工:三機・新日本空調・高砂熱学JV
衛生施工:三機・西原衛生JV
昇降機:東芝
管理:MSKビルサービス


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編集:日経不動産マーケット情報/ケンプラッツ
2010年7月23日発行

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