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 建設・不動産の総合サイト「ケンプラッツ」は「日経不動産マーケット情報」の協力を得て、2002年以降に計画された東京都区部の主要オフィスビルを対象に、建物の断熱性能を熱負荷係数で表す「PAL(パル)」と、設備の省エネ効率をエネルギー消費量の低減率で表す「ERR(イーアールアール)」のデータをビルごとに集計した。いずれも、設計に基づく建物の環境性能を測る指標のひとつだ。その数は、約150棟。都の「建築物環境計画書制度」で公表されている情報を基にしている。以下にその結果を報告する。

 PALの値が最も小さかったのは、カルピス本社ビルだ。1m2当たりの年間熱負荷係数は170.10MJで、大規模なオフィスビルの基準値となる1m2当たり年間300MJより4割以上少ない。2位が三菱商事ビルディング、3位が鹿島赤坂別館と続く。1位から5位までいずれの建物もPALの値が170代と、基準値(1m2当たり年間300MJ)の6割以下に抑えている。

●PALの上位20(1m2当たりの年間熱負荷 単位MJ/m2・年)
順位 PAL値 建物名
1 170.10 カルピス本社(渋谷区恵比寿南、2004年)
2 171.20 三菱商事ビルディング(千代田区丸の内、2006年)
3 172.30 鹿島赤坂別館(港区赤坂、2007年)
4 176.20 安全ビル(港区元赤坂、2008年)
5 177.80 アイオス目黒駅前(品川区上大崎、2006年)
6 187.70 東京倶楽部ビルディング(千代田区霞が関、2007年)
7 189.00 イーストネットビル二期計画増築工事(江東区東陽、2010年)
8 190.90 東五反田スクエア(品川区東五反田、2009年)
9 191.50 三田M-SQUARE(港区三田、2008年)
10 193.30 日本橋丸善東急ビル(中央区日本橋、2006年)
11 195.80 ニッセイ同和損保 日本橋本社ビル(中央区日本橋、2010年)
12 196.00 銀座三井ビルディング(中央区銀座、2005年)
13 197.30 鹿島本社ビル(港区元赤坂、2007年)
14 200.30 the SOHO(江東区青海、2010年)
15 201.20 東京芸術センター(足立区千住、2006年)
16 204.40 深川ギャザリア タワーN棟(江東区木場、2007年)
17 207.00 新木場第二センタービル(江東区新木場、2005年)
18 208.00 トルナーレ日本橋浜町・オフィス棟(中央区日本橋浜町、2005年)
19 209.50 イタリア文化会館ビル(千代田区九段南、2005年)
20 209.80 大明新木場ビル(江東区新木場、2009年)

 PALは、建物そのもののつくり方を工夫して、外部からの熱負荷を軽減し、空調や換気によるエネルギー消費量を削減していることを示す指標だ。例えば、倉庫や階段など空調しなくてもいい部屋を西側に配置する工夫、外壁や屋根の断熱強化、庇やブラインドによる日射遮蔽、熱線反射ガラスやペアガラスの使用など、冷暖房負荷を下げる対策が有効だ。

 PALの値が最も低いカルピス本社ビルは、延べ床面積およそ1万3000m2、04年12月に完成した建物だ。山下設計と清水建設が設計を、清水建設が施工を担当した。

 熱負荷を下げるため、西側にコアを配置した。外装は、横に連なるガラス窓とプレキャスト版を組み合わせて、ガラス面の割合を抑えている。窓面積の外壁面積比は23.40%だ。窓の位置を外壁より少し後退させて日射遮蔽効率を高め、遮熱高断熱複層ガラスを採用した。また、空調の噴き出しを窓側に設置することで窓の温度が上がりにくくしている。

カルピス本社。外装は、横に連なるガラス窓とプレキャスト版を組み合わせて、ガラス面の割合を抑えている。日射遮蔽効率を高めるため、窓の位置を外壁より少し後退させている(写真:ケンプラッツ)
カルピス本社。外装は、横に連なるガラス窓とプレキャスト版を組み合わせて、ガラス面の割合を抑えている。日射遮蔽効率を高めるため、窓の位置を外壁より少し後退させている(写真:ケンプラッツ)

 2位の三菱商事ビルディングは、南面では開口部のガラスを外壁面より室内側へ後退させ、東西面では垂直の方立(ほうだて)によって日射を遮っている。窓は、ブラインドを内蔵した二重ガラスの間に通風して窓の断熱性と日射の遮蔽性を向上させるエアフローウインドーや、高断熱高遮熱ガラスを使って空調負荷を低減している。

三菱商事ビルディング。東西面では垂直の方立(ほうだて)によって日射を遮っている(写真:ケンプラッツ)
三菱商事ビルディング。東西面では垂直の方立(ほうだて)によって日射を遮っている(写真:ケンプラッツ)

 3位の鹿島赤坂別館では、高性能LOW-E(低放射)ガラスがPAL値の低減に大きく寄与している。ここで採用した超高性能LOW-Eガラスの日射遮蔽係数は0.29で、一般的に使われる透明のLOW-Eガラスの半分以下。つまり、日射の取得率を半分以下に抑えている。このほか、開口部に陽光センサー自動制御ブラインドを設置し、窓上のアルミ庇、外壁の縦リブなどによって日射を遮る。

鹿島赤坂別館。日射遮蔽係数が一般的なLOW-Eガラスの半分以下の超高性能LOW-EガラスがPAL値を下げるのに寄与した(写真:ケンプラッツ)
鹿島赤坂別館。日射遮蔽係数が一般的なLOW-Eガラスの半分以下の超高性能LOW-EガラスがPAL値を下げるのに寄与した(写真:ケンプラッツ)