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義務不履行の場合は公表や罰金も

 対象路線は今後、選定する。加えて、沿道建築物の耐震化の実施について技術的な指針を作成。診断方法の種類や、必要とされる耐震性能の水準について定める方針だ。診断義務化に先立ち、特定緊急輸送道路沿いの建築物の所有者に対し、耐震化の取り組み状況について報告書を提出することを義務付ける。

 耐震診断の義務化の時期については、建物所有者の準備期間などを勘案し、一定の猶予期間を設ける。耐震診断を実施した場合は、「耐震診断結果報告書」の提出を義務付ける。猶予期間を経過しても正当な理由がなく必要な耐震診断を実施しない場合などは、所有者の氏名を公表、過料・罰金を科すことも検討する。

 一方で、建物所有者の負担の軽減を図るため、診断費用への助成の増額を検討する。診断技術者に関する情報も提供する。診断技術者の資格要件は、対象建築物の設計を取り扱うことができる建築士を想定。建築士の資格がない者は一定の技術力が確認される場合に限って認める方針だ。

 耐震改修は努力義務として規定する。都は必要に応じて、建物の所有者に指導・助言を行う。早急に耐震改修などを行う必要があるにもかかわらず実施しない場合は、勧告を行う。耐震性能が著しく低く、倒壊の危険性が明白な建築物に対しては、除却や使用禁止など建築基準法に基づく命令を出す。

 「診断によって耐震性が明確な数値として示されることで、所有者の耐震改修への自発的な行動を促したい。行政にとっても、診断結果を活用し、個々の建築物に対して具体的な指導・助言をすることが可能になる」(東京都市街地建築部建築企画課)

 都によると、都内の現行の緊急輸送道路の総延長は約2000kmで、該当する建築物が最大1万2000棟あると試算している。都は2007年に東京都耐震改修促進計画を作成。沿道建築物の耐震化率を70%台と推計し、15年度までに100%に引き上げる目標を設定した。これまで沿道建築物について、国・都・区市の負担で耐震診断費の最大8割を助成するなどの支援策を実施してきたが、08、09年度の耐震診断助成は計29件、耐震改修工事助成は3件にとどまっていた。

緊急輸送道路沿いの建築物の耐震化促進に向けた新たな規制誘導策の基本的な枠組み(資料:東京都)
緊急輸送道路沿いの建築物の耐震化促進に向けた新たな規制誘導策の基本的な枠組み(資料:東京都)