「アイル・ビー・バック!(私は戻ってくる)」。内閣改造で国土交通大臣を退任した馬淵澄夫氏は1月14日、国交相としての最後の会見で思いを語った。地域建設産業の再生、建築基本法の制定など道半ばの取り組みについて、「大臣が代わっても、組織として取り組むものはしっかり推進してほしい」と語り、在任4カ月での退任に無念さをにじませた。
馬淵氏は、「大臣になって、私は一貫して『国家の背骨』であると国土交通行政を語ってきた。国土、生活、産業の三つの背骨をつかさどる行政として、官僚とともにチームとなって改革に取り組むという姿勢を打ち出してきた」と強調。社会資本整備重点計画の見直しや交通基本計画の作成、建設産業戦略会議の設置など、在任中の成果を挙げ、「私が今日まで構築してきた政策をしっかり新大臣に現場から説明してもらうのが第一」と述べた。
馬淵氏は閣議後に菅直人首相の執務室に呼ばれ、「ご苦労様。本当に残念だ」とねぎらわれたことを明かした。内閣改造について、「天命に従うことは自らの道」、「閣僚人事は総理の専権事項。今後は、民主党の一議員として、国民の期待にこたえるよう全力で取り組むことが責務だ」と語った。
民主党が2009年の衆院選で示したマニフェスト(政権公約)については、「(見直しは)絶対必要だと思っている。現実的な対応が求められる」とし、財政上の制約などを踏まえた柔軟な対応が必要だとの考えを示した。
沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件をめぐる対応で、参議院で問責決議を受けたことについては、「ビデオだけでなく、個人の思いは様々ある。最終的には内閣が連帯して責任を負うので、閣僚として個人的な思いは心の中に留めておく」と述べるにとどめた。
馬淵氏は11年度予算編成をめぐるタフな交渉ぶりについて、野田佳彦財務相から「ターミネーターが来た」と言われていた。映画「ターミネーター」の有名なせりふを意識し、「副大臣を含めて1年4カ月で政権を去る。今後は、いつの日か私自身が担うべき日が来るまでにさらなる精進をする。アイル・ビー・バック!」と宣言し、会見を締めくくった。