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 ランチタイムに行列ができるスペイン風居酒屋、現役女子大生が経営する古民家カフェ。戦前から残る長屋を改修したブラジル音楽専門店──。老舗商店街に現れた個性あふれる新店舗が、地域の外からも客を呼び寄せる。

 高層ビルの開発が進む名古屋駅前から徒歩約15分。名古屋市西区の那古野(なごの)地区にある円頓寺(えんどうじ)周辺は、名古屋で最も古い商店街として知られる。円頓寺、円頓寺本町、西円頓寺の3つの商店街が、幹線道路をまたいで約1.2kmにわたり続く。名古屋城築城のころから続く門前町だ。円頓寺周辺は、昭和初期には大須、広小路と並び名古屋3大繁華街として栄えた。だが近年では、後継ぎがなく、シャッターを下ろしたままの店舗も目立つ。

名古屋の円頓寺商店街。シャッターを下ろした店や、空き地が目立つ(写真:日経アーキテクチュア)
名古屋の円頓寺商店街。シャッターを下ろした店や、空き地が目立つ(写真:日経アーキテクチュア)

 こうした空き店舗のオーナーに働きかけ、出店を希望する新たなテナントを引き合わせているのが那古野地区店舗開発協議会、通称「ナゴノダナバンク」だ。那古野の財産である店(タナ)の貸し借りを手助けする、という意味を込めた。商店街の後継ぎ世代、建築設計者、不動産会社の社員、大学の教員、コンサルタントなど7人で立ち上げた。2009年に活動を開始し、現在までに4軒の空き店舗や空き屋に、出店希望者をマッチングしている。若い店主が腕をふるう、個性が際立つ店舗を選んだ。今までの円頓寺商店街には見られなかったタイプだ。