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 冬の訪れで再び厳しくなった震災後の電力不足や、2020年に見込まれる新築住宅全棟の省エネ性能の義務化を背景として、12年は省エネ化をめぐる住宅業界の競争がさらに激しくなりそうだ。再開した住宅エコポイントを初めとする補助制度は顧客獲得の追い風になる。その一方で、職人を断熱施工に習熟させるなど技術的な対応も求められる。工務店など中堅・中小事業者の取り組みを紹介した日経ホームビルダー2012年1月号の特集記事から、一部を紹介する。

断熱材メーカーの担当者を現場で質問攻めに


 松本建設(埼玉県ときがわ町)は1919年創業の老舗で、早くから住宅の断熱性能を重視し、建材メーカーが展開する外張り断熱工法のFCに二十数年前に加盟。充填断熱と共に2通りの断熱工法で木造住宅を建ててきた。近年は次世代省エネルギー基準の施工に積極的に取り組んでいる。

 次世代省エネルギー基準の施工は、外張り断熱ではFC本部の定めた工法でスムーズにできたが、20歳代後半~30歳代前半の一次取得者層を中心とする同社の顧客は、比較的安価な充填断熱を希望することも多い。同基準に対応する充填断熱は2010年の夏頃から手掛けるようになったが、「施工にやや苦労してきた」と同社の松本敏行さんは話す。

 充填断熱で採用している断熱材のメーカーである旭ファイバーグラスの施工マニュアルを大工にマスターしてもらおうとした。しかし大工たちは、ディテールについて「どうしてこうするのか」「なぜこうなっているのか」と疑問を口にすることが多かったという。「工法や仕様の根拠、必要性について一人一人に納得してもらわないと、現場での応用も利かず、中途半端な施工になってしまう恐れがある」。松本さんは対策を考えた。

大工の「納得」が不可欠


 そこで11年5月、旭ファイバーグラスの北関東支店に依頼して、次世代省エネルギー基準をクリアする断熱施工の講習会を自社の施工現場で開いた(下の写真)。グラスウールの大手メーカーの1つである同社は、一部の支店でこうした現場での講習を行っている。

旭ファイバーグラス北関東支店の担当者(左端)が松本建設の大工たちに、グラスウール断熱材を使った充填断熱で次世代省エネルギー基準に対応する施工法を説明している(写真:松本建設)

 講習では大工が旭ファイバーグラスの担当者に直接質問した。「特に天井や床まわりの防湿シート、気流止め、基礎まわりの気密パッキンなどの各施工について質疑が多かった。高気密や結露対策への理解を深めてくれたと思う」と松本さんは振り返る。大工たちは、当初は面倒とも感じていたそれらの作業が確かに必要だと分かった様子だった。「こういう施工の仕方はどうか」と大工のほうから提案が飛び出すこともあり、活発な雰囲気だったという。

 松本建設の新築住宅の年間棟数は、例年なら7棟程度のところ、「2011年度は好調で15棟に達しそうな勢い」(松本さん)。ただし高い施工品質が伴わなければ、引き渡し後に顧客の信頼を失う恐れが生じる。松本さんは大工のやる気を頼もしく思ったという。