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 高度医療を提供する施設として、英国に大学病院付属マクミランがんセンターが2012年の春に開業予定である。ホプキンス・アーキテクツとアラップが設計した。1億ポンド(120億円 1ポンド=120円)規模の病院だ。

 設計チームは、この1万5000m2のがんセンターの計画にあたり、世界中から病院設計指針のベストプラクティスを集めた。英国では、病院には自然換気が必要と認識されている。ここではさらに、自然光を有効活用しているのが特徴である。各階の主動線は、病院の中央に位置し、光あふれるアトリウムに面して配されている。

 また、患者の立場に立った専門的かつ総合的なサービスを提供するのはもちろんのこと、患者の家族、病院職員にも快適なアメニティを備えるよう計画。屋上空間も憩いの場となっている。

 医療福祉施設においては、経済的な合理性と、専門的な設備や快適性のバランスを取ることは課題である。このプロジェクトにおいても、持続的な経営が可能な経済的合理性に加えて、BREEAM(ブリーム:英国の建物環境評価制度)のexcellent(エクセレント:6段階の上から2番目のレベル)を達成できる施設とすることが優先事項の一つであった。

アラップはこれまでの病院建築の経験を活かし、構造や設備のエンジニアリング以外に、特殊照明や緊急車両動線の計画も行った(写真:Hopkins Architects)
アラップはこれまでの病院建築の経験を活かし、構造や設備のエンジニアリング以外に、特殊照明や緊急車両動線の計画も行った(写真:Hopkins Architects)

無菌室、画像処理、診療、採血室だけではなく、外来診療や介護者支援施設としてのショートステイ施設なども備えている(写真:Hopkins Architects)
無菌室、画像処理、診療、採血室だけではなく、外来診療や介護者支援施設としてのショートステイ施設なども備えている(写真:Hopkins Architects)

 特筆すべきは、英国初のPETMRスキャナーの導入である。これは文字通りPET(ペット:ポジトロン断層撮影)とMRI(エムアールアイ:磁気共鳴画像)の特徴を併せもった画像診断であり、より細かく正確な情報を得ることができる。PETはその精度に限界が指摘されることもあり、精度の高いCT(シーティー:コンピュータ断層撮影)と組み合わされてきた。しかし、CTはX線による画像のためどうしても被爆が避けられない。この点、MRIは磁気による画像のため、PETと組み合わせても被爆量が少ない。PETMRスキャナーは、世界でもまだ少数で、臨床機としての利用が始まったばかりである。日本でもこれから申請・導入を検討していくようである。

 いつまでも健やかに暮らしたいというのは、人の根本的な欲求である。医療問題が深刻化するなか、万が一病気になった際には快適性と高度な医療がそろった病院で、皆がサービスを受けられる環境が日本でも整うようにと願っている。