PR

街の発展とともに拡張を繰り返してきた渋谷駅。大ターミナルに育ったものの、「継ぎはぎ」感が否めない。乗り換えなどの経路が分かりにくく、熟知していないと迷ってしまう。バリアフリーの充実や耐震性の強化も求められている。

こうした状況を改善するため、駅地上部の施設をすべて造り変える。既に東京メトロ銀座線がホーム移設工事に入った。東急東横線は渋谷駅付近で進めている地下化が2012年度中に完成する。東京メトロ副都心線が先行して利用しているホームに乗り入れ、相互直通運転を開始。現・東横線渋谷駅は東急百貨店東横店とともに2013年4月以降、解体に着手する。跡地を使ってJR線のホームを移設し、超高層の駅ビルも建てる。完成後の姿を解説する。

渋谷駅の整備イメージを北西から見下ろす。東京メトロ銀座線ホームを東(図では左上)に移動する。JR埼京線ホームは北(左下)に移動してJR山手線ホームと並べる。国道246号沿いに超高層の駅ビルを建てる(資料:渋谷区)
渋谷駅の整備イメージを北西から見下ろす。東京メトロ銀座線ホームを東(図では左上)に移動する。JR埼京線ホームは北(左下)に移動してJR山手線ホームと並べる。国道246号沿いに超高層の駅ビルを建てる(資料:渋谷区)

 渋谷駅が誕生したのは1885年のことだ。上野から熊谷、前橋と北に路線を延ばしていた日本鉄道が、途中の赤羽から品川に向けて、東京の市街地を避ける形で路線を建設。その際に設けたのが渋谷駅だ。当時の渋谷は村で、開業日に利用者はいなかったと伝えられている。

 127年経った現在の渋谷駅には8路線が集結。相互直通を除くと、1日当たり約215万人の利用者がいる(2010年)。関東の駅では新宿、池袋に次ぐ規模だ。

 ところが、駅は「継ぎはぎ」状に増築を繰り返してきたことから、乗り換え経路が狭く、分かりにくい。駅ホームから渋谷の街への到達もスムーズではなく、使いづらい状態に陥っている。こうした点を解消するために、地上部の施設をほぼすべて造り変える。

 駅や駅ビルの造り変えは、東京急行電鉄(東急電鉄)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、東京地下鉄(東京メトロ)などの民間事業者が実施する。渋谷区などが実施する駅前広場整備と合わせ、事業完了は2026年度を予定している。具体的な内容はまだ判明していないものの、公開されている都市計画などから概要が読み取れる。これらを基に解説する。

渋谷駅東口を南東から見る。写真中央から左にかけて連続アーチ屋根のかかっているのが東急東横線渋谷駅。2012年度中に地下化する予定で、跡地をJR埼京線ホームや新しい駅ビルなどに充てる(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅東口を南東から見る。写真中央から左にかけて連続アーチ屋根のかかっているのが東急東横線渋谷駅。2012年度中に地下化する予定で、跡地をJR埼京線ホームや新しい駅ビルなどに充てる(写真:ケンプラッツ)

渋谷駅東口を北東から見る。東京メトロ銀座線ホームは現在、東急百貨店東横店内にある。これを東(写真では左)に130m移動させる。正面の建物は東横店東館で、2013年3月に営業を終了する。跡地は駅前広場やJR埼京線ホームなどに充てる(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅東口を北東から見る。東京メトロ銀座線ホームは現在、東急百貨店東横店内にある。これを東(写真では左)に130m移動させる。正面の建物は東横店東館で、2013年3月に営業を終了する。跡地は駅前広場やJR埼京線ホームなどに充てる(写真:ケンプラッツ)

渋谷駅ハチ公口を北西から見る。スクランブル交差点に面し、渋谷の顔となっている。正面右の建物は東急百貨店東横店西館。2012年1月時点では営業終了などの告知はないものの、都市計画上は敷地を駅前広場にすることが決まっている。正面左は東横店東館(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅ハチ公口を北西から見る。スクランブル交差点に面し、渋谷の顔となっている。正面右の建物は東急百貨店東横店西館。2012年1月時点では営業終了などの告知はないものの、都市計画上は敷地を駅前広場にすることが決まっている。正面左は東横店東館(写真:ケンプラッツ)

渋谷駅ハチ公口の忠犬ハチ公銅像。1948年に制作した2代目だ。初代は1934年に制作されるも1945年に戦時供出させられた。1989年の駅前広場拡張に伴って場所を移動し、向きを北から東(駅方面)に変えた(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅ハチ公口の忠犬ハチ公銅像。1948年に制作した2代目だ。初代は1934年に制作されるも1945年に戦時供出させられた。1989年の駅前広場拡張に伴って場所を移動し、向きを北から東(駅方面)に変えた(写真:ケンプラッツ)

渋谷駅ハチ公口に展示してある東急旧5000系電車。1954年に製造が始まり1986年に運行を終えるまで、東横線や目黒線(当時は目蒲線)で活躍。「青ガエル」などの愛称で親しまれた。ハチ公口には2006年に設置(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅ハチ公口に展示してある東急旧5000系電車。1954年に製造が始まり1986年に運行を終えるまで、東横線や目黒線(当時は目蒲線)で活躍。「青ガエル」などの愛称で親しまれた。ハチ公口には2006年に設置(写真:ケンプラッツ)

渋谷駅西口を南西から見る。正面が東急百貨店東横店南館、左が同西館。南館も2012年1月現在では営業終了などの告知はないものの、都市計画上は敷地を駅前広場と新しい駅ビルにすることが決まっている(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅西口を南西から見る。正面が東急百貨店東横店南館、左が同西館。南館も2012年1月現在では営業終了などの告知はないものの、都市計画上は敷地を駅前広場と新しい駅ビルにすることが決まっている(写真:ケンプラッツ)

渋谷駅西口のモヤイ像。1980年に伊豆諸島の新島村から渋谷区に寄贈された。ハチ公ほど著名な存在ではないものの、待ち合わせスポットになっている(写真:ケンプラッツ)
渋谷駅西口のモヤイ像。1980年に伊豆諸島の新島村から渋谷区に寄贈された。ハチ公ほど著名な存在ではないものの、待ち合わせスポットになっている(写真:ケンプラッツ)

各路線渋谷駅の開業時期
1885年日本鉄道品川線(現・JR山手線)
1927年東京横浜電鉄東横線(現・東急東横線)
1933年帝都電鉄渋谷線(現・京王井の頭線)
1938年東京高速鉄道線(現・東京メトロ銀座線)
1977年東急新玉川線(現・東急田園都市線)
※直通先の営団地下鉄半蔵門線(現・東京メトロ半蔵門線)は
 翌78年に部分開業
1996年JR埼京線
2008年東京メトロ副都心線
2012年副都心線ホームに東横線が乗り入れ予定
(2012年度内、相互直通運転を開始)
※路面電車を除く。東急新玉川線は、路面電車の玉川電気鉄道玉川線(後に東急玉川線)の後継に当たる(資料:ケンプラッツ)