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 米国・ボストンにあるガードナー美術館は、イタリア・ルネサンスの影響を受けた3階建ての建物で、1903年に完成した。15世紀のべネチア宮殿を模した様式から、“パレス(宮殿)”と呼ばれ親しまれてきた。

 美術館の設立者であるイザベラ・ステュワート・ガードナーは伝統的な美術館の構成を嫌い、より高密度で特異な視覚体験が得られる空間を求めた。その好例が、花々で一杯の中庭に開かれたギャラリーだ。ガードナーの遺言には、自身が生前に見た姿と変わらぬように、建物を保全することと書かれていた。

 設立から1世紀がたち、美術館は別棟の増築を決めた。当然、設計者には歴史と周辺環境のコンテクストに適した提案が求められた。結果としてレンゾ・ピアノ氏が選定され、約6500m2の増築部分が2012年1月にオープンした。

 壮麗な“パレス” の特徴は、「ギャラリーに面した草木あふれる中庭」という内に向かうものであった。これに対して増築部分は、ガラスファサードで構成した現代的な趣で、外部に向けて開けた眺望や採光が特徴である。こうして新旧の建築の競演は、互いに補完的な役割を果たしている。

米国・ボストンにあるガードナー美術館の増築。展示ギャラリー、音楽ホール、店舗、教室、多目的スペース、カフェ、オフィス、美術品の保存研究施設、温室、そして芸術家のためのアトリエ兼滞在施設などが含まれる(写真:アラップ)
米国・ボストンにあるガードナー美術館の増築。展示ギャラリー、音楽ホール、店舗、教室、多目的スペース、カフェ、オフィス、美術品の保存研究施設、温室、そして芸術家のためのアトリエ兼滞在施設などが含まれる(写真:アラップ)