石巻市の中心部を流れる旧北上川の中州に建つ石ノ森萬画館。高さ約6mの津波が直撃したが、設計時の配慮が奏功し、被害は一部にとどまった。結果的に津波避難ビルとしての機能も果たした。
石ノ森萬画館は河口から2kmほど上流に位置する。周囲の建物は津波に飲み込まれ、壊滅的な被害となった。しかし、萬画館はほぼ震災前の姿のままそこに建っている。同館も1階に水が流れ込んだが、原画などの収蔵品は無事だった。建物面での被害は、1階のガラス開口部、1階と屋外の機械スペースにとどまった。
南東に位置する日和山から見た石ノ森萬画館(白い円盤状の建物)。写真手前が川下方向(写真:井上 健)
同じ方向から見た震災直後の様子(写真:石ノ森萬画館)
震災時、石ノ森萬画館を襲った津波。3階の開口部から撮影した(写真:石ノ森萬画館)
震災直後、隣接する公園から見た様子(写真:石ノ森萬画館)
震災直後、地盤が下がり、護岸が浸水した(写真:石ノ森萬画館)
津波翌日の石ノ森萬画館の外部(写真:石ノ森萬画館)
入り口付近の現況。津波で館名表示の「萬」の字が取れた(写真:井上健)
震災直後はがれきが山積みだったが、現在はすっかりきれいになっている(写真:井上健)
震災直後の様子。右は旧石巻ハリストス正教会教会堂。1880年に石巻市千石町に建設されたもので、現存する木造教会堂建築としては日本最古級だという(写真:日経アーキテクチュア)
清掃はほぼ終わり、現在は機械室の復旧に取り組んでいる。再開は2012年の夏から秋が目標だ。日経アーキテクチュア2012年3月10日号では、震災当日の様子について詳述している。