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本物の文化を提供…1990年代:シブヤ・バブル(1)

 1990年代の渋谷は、その初めと終わりに二つのバブルを経験する。ひとつは80年代末から始まっていた、いわゆるバブル景気である。

Bunkamura。設計は石本建築事務所・MIDI綜合設計研究所・ヴィルモットジャポン、竣工は1989年(写真:ケンプラッツ)
Bunkamura。設計は石本建築事務所・MIDI綜合設計研究所・ヴィルモットジャポン、竣工は1989年(写真:ケンプラッツ)

 1990年代に入る直前に東急が完成させたBunkamura(1989年)には、所有資産を膨らませた高級志向の消費者に、本物の文化を提供しようとの意図が感じられる。設計者にはフランス人の建築家も参加した。この時代、海外建築家を呼んで設計させるのがブームだったのだ。

 この時期の建築は、基本的にポストモダンのデザインを引きずっているが、そのなかに新しい傾向のものも交じっている。例えば渡辺誠設計の青山製図専門学校1号館(1990年)、若林広幸設計のヒューマックスパビリオン(1992年)、ワークショップ設計のビーム(1992年)といった作品は、過去の建築様式というよりも、ロケットやエンジンといった機械をモチーフにしたようなデザインである。スチームパンクと呼ばれるデザインのスタイルにも通じる。

 渋谷はバブルが弾けたあとも、渋谷系と称される音楽が人気を得たり、コギャルのファッションが注目されたりと、流行の発信地としての地位を保ったが、建築のプロジェクトはめっきり減り、話題となるような建物もつくられなくなる。せいぜいが駅から離れた土地のコストが低いエリアでの開発ぐらいである。例えば円山町のランブリングストリートに、ライブハウスのON AIR WEST(現・O-WEST)などが北山孝二郎の設計でこの時期にオープンしている。

青山製図専門学校1号館。設計は渡辺誠、竣工は1990年(写真:ケンプラッツ)
青山製図専門学校1号館。設計は渡辺誠、竣工は1990年(写真:ケンプラッツ)
ビーム。設計はワークショップ、竣工は1992年(写真:ケンプラッツ)
ビーム。設計はワークショップ、竣工は1992年(写真:ケンプラッツ)

ヒューマックスパビリオン。設計は若林広幸、竣工は1992年(写真:ケンプラッツ)
ヒューマックスパビリオン。設計は若林広幸、竣工は1992年(写真:ケンプラッツ)
O-WEST。設計は北山孝二郎+K計画事務所1993年にON AIR WESTとして開業(写真:ケンプラッツ)
O-WEST。設計は北山孝二郎+K計画事務所1993年にON AIR WESTとして開業(写真:ケンプラッツ)

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