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 広島市南区の特別支援学校の建て替え。知的障害のある児童や生徒を対象とし、肢体不自由などの重度障害にも対応できる施設を設置する。生徒の機能回復を意図し、「五感に働き掛けるランドスケープと空間」をコンセプトに、光や風を感じられる空間や起伏のある庭などを設置する。

 肢体不自由と知的障害に対応する空間を分離せず、一体的に整備した。児童や生徒が教室を移動しながら社会性を習得できるよう、普通教室は「家」、共用部は大通りや広場、路地のある「街」と見立てて各施設を配置。大空間や小さなポケットのようなスペースなど、変化に富んだ空間をつくっている。

 児童や生徒が自分のいる位置を認識できるよう、階段やエレベーター、壁などを色分けし、教室と廊下は内装材を使い分けた。外構部は草木の匂いや木漏れ日などの光の感覚、潮風がほほに当たる感触、葉の擦れる音など、さまざまな要素を感じ取れるよう配慮している。また、感覚障害の機能回復に配慮し、うねりや起伏のある庭などを設けた。

 施設内には7つの広場を設置する。エントランスホールに連続する多目的空間「ひかりのひろば」は、シースルーのソーラーパネルを用いて、トップライトからの豊かな光があふれる空間とした。直射日光が苦手な生徒にも配慮し、膜材によって日射の侵入を抑制している。中庭には調理室に面した「いこいのひろば」を整備した。テーブルや椅子、洗い場を設置し、屋外で調理実習の料理を食べることができる。美術室に面し、作品製作や屋外作品の展示などに利用する「アートのひろば」には、起伏のある芝生の庭を設けた。屋上には安芸小富士を一望できる「そらのひろば」を設けた。再生ウッドデッキとゴムチップを敷き、遊具を設置。児童や生徒が安全に遊び、リフレッシュできる空間を目指している。

広島特別支援学校(資料:広島市)
広島特別支援学校(資料:広島市)

多目的スペースとなるひかりの広場。シースルーのソーラーパネルを用いたトップライトから豊かな光を取り込む(資料:広島市)
多目的スペースとなるひかりの広場。シースルーのソーラーパネルを用いたトップライトから豊かな光を取り込む(資料:広島市)

いこいの広場。感覚統合のための訓練スペースとして、起伏のある芝生の庭を設けた(資料:広島市)
いこいの広場。感覚統合のための訓練スペースとして、起伏のある芝生の庭を設けた(資料:広島市)

  • 所在地:広島県広島市南区出島4-1-20
  • 発注者、事業者:広島市
  • 設計者:佐藤総合計画
  • 施工者:西松建設・大之木建設建設工事共同企業体
  • 竣工時期:2012年7月
  • オープン時期:2012年9月
  • 主構造:RC造、SRC造
  • 階数:地上3階
  • 延べ床面積:2万645.3m2

※各項目は2011年12月に日経アーキテクチュアが実施した調査時の情報に基づく
※プロジェクト名は仮称、略称を含む
※「─」は未定または非公表を表す
※施工者は原則、建築のみ表記
※竣工、オープン時期は予定を含む
※資料、写真は特記なき限り設計者もしくは施工者の提供

<訂正>初出時、「ひかりのひろば」と「いこいのひろば」の説明に誤りがあり、訂正しました。(2012年8月6日10時12分)