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 栃木県那須町の緩やかな丘の雑木林に立つ住宅。道路側から敷地奥に向かって緩やかに上がる傾斜に合わせて5つの錐(すい)型の建物をつなげて配置し、屋根を兼ねた壁面はすべて斜めで、森の中でテントを張って暮らすような、自然と一体となる空間を目指した。

5棟の建物はエントランス、リビング、ダイニングキッチン、ユーテリティ空間、寝室となる。ユーティリティ空間は風呂やトイレ、階段、クローゼットなどからなり、2階には子ども室を配置した。高い天井とトップライトによる明るい空間を意図する一方で、建設費や空調のランニングコストを抑えるよう配慮した。壁際の天井の低い場所は、リビングではソファや収納、寝室ではベッドなどを配置し、住人の座る、寝る、しゃがむといった動作に応じて、上部の不必要な空間を斜めに切り落としている。こうした形状を採用することで、立方体の空間に対して2~3倍の天井高を確保しながら気積を抑えた。最小限の樹木伐採での建設を可能にした。エントランス、ダイニング、ベッドルームの開口部からは、敷地の豊かな緑を望める。

 最も天井の高いダイニングキッチンには暖炉を設置する。冬季は、錐型のため上部に集中する熱気を、壁に納めた暖炉煙突に沿って暖気循環用のダクトを設け、給気ファンによって床付近へと効率的に循環させる。また、開口部の下に基礎のピットを利用した床吹き出しの空調によってコールドドラフトを防いでいる。

 夏季は、緑を望む大きな開口部には深い庇を設け、日射を抑制する。地盤の高い敷地奥のベッドルーム上部に設置した開閉式トップライトと2階に開閉式の窓、地盤の低い道路側のエントランスに設けた窓によって、家全体に自然の風が抜けるよう工夫している。各棟に、夏季に室内上部の熱を排出する排気ファンを設置している。

House S
House S

House Sの内観イメージ。家族が天井の低い壁際に座ることで、互いに向かい合って過ごすことを目指した
House Sの内観イメージ。家族が天井の低い壁際に座ることで、互いに向かい合って過ごすことを目指した

  • 所在地:栃木県那須郡那須町
  • 発注者、事業者:個人
  • 設計者:NAP建築設計事務所
  • 施工者:深谷建設
  • 竣工時期:2012年8月
  • オープン時期:2012年8月
  • 主構造:木造
  • 階数:地上2階
  • 延べ床面積:171.9m2

  • ※各項目は2011年12月に日経アーキテクチュアが実施した調査時の情報に基づく
  • ※プロジェクト名は仮称、略称を含む
  • ※「─」は未定または非公表を表す
  • ※施工者は原則、建築のみ表記
  • ※竣工、オープン時期は予定を含む
  • ※資料、写真は特記なき限り設計者もしくは施工者の提供